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  • 2025/05/20 掲載

「2025年版 中小企業白書」の要点まとめ、なぜ勉強しない社長は“終わり”なのか?

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

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中小企業庁は2025年4月、中小企業の動向などについて取りまとめた「2025年版 中小企業白書」を公開しました。中小企業白書は中小企業基本法に基づく年次報告書です。今年の白書では、激変する環境において、中小企業が課題を乗り越え、成長・持続的発展を遂げるために重要となる、経営者の「経営力」に焦点を当て、分析が行われています。本稿では300ページ超におよぶ「2025年版 中小企業白書」の中から、注目すべきポイントを紹介します。
執筆:アルファコンパス 代表CEO 福本 勲

アルファコンパス 代表CEO 福本 勲

アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)

 1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「 DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
 2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
 主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX - EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。

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300ページ超におよぶ「2025年版 中小企業白書」の中から、注目すべきポイントを紹介します
(Photo/Shutterstock.com)

差が出やすい? 経営者に求められるリスキリング

 「2025年版 中小企業白書」では、中小企業における経営戦略・計画の策定と運用、経営の透明性・開放性の取り組みや人材戦略が、業績や人材確保に寄与していることが述べられています。

 また、中小企業にとって、これらの取り組みの推進における経営者の役割が非常に重要であり、経営者のスキルの有無、成長意欲が大きく影響を及ぼすとしています。

 そして、経営環境の変化が激しい昨今、経営者に求められるスキルも多様化しており「経営者のリスキリング」が重要であるとしています。

 経営者のリスキリングへの取り組み状況を見ると、約3割の経営者がリスキリングに取り組んでいることが分かります。

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経営者のリスキリングへの取り組み状況
(出典:2025年版 中小企業白書 第2-1-66図)

 また、経営者の年代別にリスキリングへの取り組み状況を見ると、若い経営者ほど意欲的にリスキリングに取り組んでいる傾向にあることが分かります。

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経営者のリスキリングへの取り組み状況(経営者の年代別)
(出典:2025年版 中小企業白書 第2-1-67図)

 経営方針として「売上拡大」、「利益拡大」を挙げている事業者は、経営者のリスキリングに「取り組んでいる」割合が高くなっています。

 獲得したいスキルとして「経営戦略」、「管理者の職務とリーダーシップ」といった経営者としての能力を高めるものの割合が高く、次いで「マーケティング」、「IT活用」といった営業や管理の強化を目的とするものが続いています。

 経営者がリスキリングに「取り組んでいる」事業者は「取り組んでいない」事業者に比べて人材育成に積極的に取り組んでいることも分かります。

中小企業の設備投資は増えてる? 減ってる?

 企業規模別に設備投資額の推移を見ると、「大企業」では増加している一方で、「中規模企業」ではおおむね横ばい、「小規模企業」では減少傾向となっています。

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設備投資額の推移(企業規模別)
(出典:2025年版 中小企業白書 第1-4-3図)

 前年度の同時期と比較した中小企業の設備投資計画を見ると2024年度の前年度比の設備投資計画の水準は2023年度と比べて低いことが分かります。

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設備投資額の推移(企業規模別)
(出典:2025年版 中小企業白書 第1-4-4図)

 物価・金利・人件費の上昇や、人手不足に直面している現在だからこそ、生産性や付加価値を高める取り組みが必要であると考えられますが、設備投資に積極的な中小企業は多くないことが分かります。

 直近5年間程度で実施した設備投資の目的を見ると、「設備の更新・維持」、「生産能力・販売能力の強化」、「新製品・新規事業の開始」、「生産拠点の増設」などが多く、「デジタル化への対応」はそれほど多くなく、デジタル化への投資は進んでいないことが分かります。

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実施した設備投資の目的
(出典:2025年版 中小企業白書 第2-2-45図)

中小企業のDXの成熟度は?

 本白書では、2022年以降、中小企業・小規模事業者のデジタル化の取り組み状況を以下の4つの段階に分けて、整理・分析しています。

■中小企業・小規模事業者のデジタル化の取り組み状況の整理
  1. 段階4:デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態
  2. 段階3:デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態
  3. 段階2:アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態
  4. 段階1:紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態

 デジタル化の取り組み段階を見ると、2024年は、2023年に比べて「段階1」と回答する事業者の割合が大きく減少していることが分かります。

 しかし、デジタル化に取り組めていない中小企業・小規模事業者も相変わらず一定数存在しており、DXの実現に向けて、更なるデジタル化が求められる状態と言えます。

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デジタル化の取り組み段階
(出典:2025年版 中小企業白書 第1-4-7図)

 一方、事業者が独力で対応していくことが難しいと考えている経営課題について、スケール(企業規模)別に確認した結果を見ると、「人材確保・人材育成」、「デジタル化・DX」については、いずれのスケールにおいても高い割合となっていることが分かります。

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独力で対応していくことが難しい経営課題(スケール別)
(出典:2025年版 中小企業白書 第2-2-18図)

中小企業「企業規模別」で違う? 具体的なDXの内容とは

 デジタル化の取り組み段階について、スケール別に確認したものを見ると、売上高「10億円未満」は約7割の事業者が「段階2」以下となっており、業務環境のデジタル化を果たした段階にとどまっていることが分かります。

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