- 2025/07/15 掲載
中国、縮む対米貿易=ASEANなど新興国に注力
【北京時事】6月の中国貿易統計によると、貿易総額に占める米国のシェアは9.3%と、1年前の11.5%を下回った。対米摩擦が長期化するとの懸念がくすぶる中、中国政府は新興国との貿易拡大に注力する方針を鮮明にしている。
「先進国への輸出を安定させ、新興国との貿易を拡大する」。中国メディアによると、トランプ米政権発足に先立つ2023年、李強首相は各部門にこうハッパを掛けたという。
6月の統計では、東南アジア諸国連合(ASEAN)との貿易額が前年同月比10.2%増の906億6000万ドル(約13兆3000億円)と堅調に推移。シェアは16.9%に上昇した。ASEANとの貿易規模はかつて米国とほぼ同じだったが、最近は米国を上回る状況が常態化している。
7月中旬、雲南省昆明にある中国最大級の果物市場には、タイやベトナムから輸入された果物入りの段ボール箱が大量に積まれていた。市場の一角では、東南アジア向けに輸出するという中国産のリンゴなども並んでいた。
市場関係者によると、東南アジアとの取引は、「中国ラオス鉄道」の開通などインフラ網の整備を背景に近年急成長。中国政府も国境での通関作業の簡素化や輸出業者に対する税制優遇を講じ、貿易拡大を促しているという。
昆明で電子部品の輸出を手掛ける男性は、東南アジア経済が高成長を続けていると指摘、「市場自体の魅力が高まっている」と話した。米国は中国がベトナムなどASEANを経由して対米輸出を行っていると批判し、対策を求めているが、男性は「迂回(うかい)は確かにあるがメインではない」と説明した。
中国税関総署の王令浚副署長は14日の記者会見で「『友人の輪』を増やしながら、外部環境の変化に対応していく」と強調。中国に駐在する日系商社幹部は「中国は国策として貿易の多角化を進めている」と語った。
【時事通信社】 〔写真説明〕国際輸送を行う中国のトラック。漢字で「タイ~ラオス~中国」と書かれている=11日、中国雲南省昆明
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