- 2025/08/06 掲載
米高格付け企業のM&A、資金調達で債務より株式と現金を重視
[5日 ロイター] - 銀行関係者や投資家によると、米国の高格付け企業は今年、買収資金を債務よりも主に株式と現金で調達している。M&A(企業の買収・合併)活動が活発化して政策金利の引き下げ期待が高まるにつれて、この傾向がさらに続くとみられている。
債務コストの上昇や債務増加に伴う信用格付けの引き下げを巡る懸念のために、現金や非常に価格が高い株式による資金調達がより魅力的な選択肢となった。
米鉄道会社ユニオン・パシフィックは先週、ノーフォーク・サザンを850億ドルで買収する計画を発表した。アナリストはこの買収が主に株式と一部現金、さらに150億―200億ドルの債務で賄われると予測している。この買収計画は鉄道業界で過去最大の規模となる可能性がある。
アトランタに拠点を置く投資銀行トゥルイスト証券の債券資本市場共同責任者ピアーズ・ロナン氏によると、株式と債務の税引き前コストの差が縮小しているため、このような現金と株式による買収計画が好まれているという。
LSEGのデータによると、今年のM&A資金調達は株式が約2500億ドルと調達額全体の11%を占め、現金と株式の組み合わせは15.3%だった。
2024年の株式による資金調達は4410億ドルで全体の14%、現金と株式の組み合わせが7%だった。
ロナン氏は「現在は債務がそれほど魅力的でない。株式の方がとても魅力的だからだ」と述べ、株式の収益利回りの高さを指摘した。
ロサンゼルスに拠点を置く資産運用会社ペイデン&ライゲルの投資適格戦略責任者のナタリー・トレビシック氏は、収益が好調で健全なフリーキャッシュフローを生み出している企業が多く、「M&A取引の株式による資金調達が拡大する一方で債務に対する依存度が低下している」理由となっていると述べた。
投資適格企業は自社の格付けが債務の増加のために引き下げられないように慎重になっている。格下げされれば、資金調達コストが上昇するからだ。
格付け機関のムーディーズ、S&P、フィッチはユニオン・パシフィックがノーフォーク・サザン買収でレバレッジを高めれば格付けを引き下げるだろうと警告した。
銀行関係者はM&Aを目指す企業が債務に対する依存度を低下させるために、今年末の投資適格債の発行額は24年の1兆5000億ドルを下回るかもしれないと話している。
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