- 2025/09/26 掲載
ミランFRB理事、利下げ加速主張 他の政策当局者は慎重さ維持
[25日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のミラン理事は25日、労働市場の崩壊を防ぐため大幅な利下げが必要だと訴えた。一方、他の政策当局者らは関税によるインフレ高進に警戒感を示し、より慎重になるべきとの考えを示した。
トランプ大統領の経済顧問として利下げを要求してきたミラン氏は、今月初めにFRB理事に就任したばかりだが、意見の対立が浮き彫りになっている。
シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、ミシガン州でのイベント後、労働市場は安定しており、緩やかな冷え込みにとどまっていると指摘。「われわれは警戒を怠らないようにしたい。インフレが持続するのかが分からないうちに前倒しで過度な利下げを実施するのは、間違いを犯すリスクがある」と述べた。
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁はユタ州で講演し、新卒者の就職難や求職者の就職活動にかかる時間の増加など、労働市場データの一部に「黄色信号」が出ているとの認識を示した。しかし、関税の影響を考慮してもインフレは依然として目標の2%を上回っているため、FRBは慎重に行動すべきだと指摘。
「(FRBが担う2つの責務に対する)リスクが均衡化される水準まで、時間をかけてあともう少し利下げする必要があると考えている」とし、「政策金利を一度に調整すればいずれかの目標の達成が危うくなる恐れがあるが、情報を精査し、段階的に調整していけば良い成果が得られる」と語った。
トランプ関税がインフレを再燃させることはないとの見解に同意するボウマン副議長でさえ、大幅な利下げを求めるミランの意見にはほとんど同調せず、年内に0.25%の利下げを3回実施すべきと主張した上で、その理由として「労働市場は予想以上に脆弱だ」と述べた。
FRBは16─17日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.00─4.25%とすると決定。雇用情勢の弱さを示す兆しに対応し、年内は着実に利下げを実施していく方針を示した。
カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁は、「インフレ率は依然として高すぎる一方、労働市場は冷え込んでいるものの、依然として概ね均衡している」とし、FRBが二つの責務に対するリスク管理を行う間、金融政策を「わずかに引き締め的な」スタンスに移行させることは適切な対応だとした。
これに対し、ミラン氏はFOXビジネスの番組で「金融政策がここまで引き締め的な状態にあると、経済は下振れショックに対し一段と脆弱になる」と指摘。このため、0.5%の幅で利下げを行い、政策金利を合計2%ポイント引き下げなければならないと述べた。
また、「先週の会合結果から、人々が切迫感を持っていないことは明らかだ」とし、「その理由の一つは、関税によるインフレを依然として非常に恐れていることだ。私の考えでは、関税によるインフレの具体的な証拠はまだ出ていない。それが多くの同僚らの足を引っ張っているのだと思う」と述べた。
グールズビー氏は自身の金利見通しを示さなかったものの、FRBの政策が「軽度、もしくは適度に引き締め的」と確信しており、急速な利下げを必要とするほどタイトではないと指摘。「過度に引き締め的な水準の金利が経済を景気後退に向かわせているのであれば、景気循環と金利に敏感な経済の一角が『炭鉱のカナリア』のようにその兆候を示しているはずだ」とし、ミラン氏と異なる見解を示した。
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