- 2025/10/02 掲載
アングル:米政府閉鎖、過去の例では実体経済に持続的打撃なし 総じて消費堅調
ただこれまでの例が参考になるとすれば、政府閉鎖自体が実体経済に持続的な打撃を与える公算は乏しい。
過去50年で発生した政府閉鎖は合計20回、閉鎖期間は平均8日間、中央値は4日間で、一部の行政サービスや政府職員への給与支払いの滞りが経済を直撃するほど長期間だったとは言い難い。
経済活動縮小と同時に政府閉鎖が起きたのはわずか2回。1981年のレーガン政権下の2日間と1990年のジョージ・H・W・ブッシュ政権下の3日間だが、いずれも閉鎖が始まる前から景気後退局面に入っていた。
1977年のカーター政権時には3カ月にわたって断続的に計31日間政府機関が閉鎖され、経済成長がほぼ停滞し、政府支出も抑制されて成長の足を引っ張った。ただ次の四半期には成長軌道を取り戻し、個人消費は政府閉鎖中も減速しなかった。
実際、全般的には過去の政府閉鎖期間を通じて個人消費は伸び続け、平均で約0.5%増加している。2018年12月から19年1月までの第1次トランプ政権における過去最長の35日に及んだ直近の政府閉鎖では、2カ月間の個人消費は月平均0.3%減少した。しかしエコノミストの分析によると、これは減税効果のはく落や中国との貿易戦争を巡る懸念によるという。
この直近の政府閉鎖期間には、一時帰休になった政府職員の失業保険申請が短期的に増加する事態も見られたが、労働市場全体に影響が広がったわけではない。労働省のデータからは、政府閉鎖期間中の失業保険新規申請者数ないし失業率に目立った変化は起きなかったことが分かる。
グローバルXの投資戦略責任者を務めるスコット・ヘルフスタイン氏は「政府閉鎖は不便で混乱をもたらす。だが実体経済に著しい影響を及ぼすという証拠は乏しい。通常、当初は経済活動に有意な損失が発生しても、次の四半期には帳消しになる」と指摘した。
<悩みは残る>
もっともそれで投資家や政策担当者の悩みが消えるわけではない。
例えばFRBは今月28─29日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)までの間に経済情勢、とりわけ最も関心を向けている労働市場と物価の動きに関する手掛かりを集めて政策決定しなければならない。
ところが政府閉鎖が続く限り、3日の9月雇用統計を含めた重要な政府データを確認できない事態に陥りかねない。
シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は9月30日のFOXビジネスで「われわれが経済の推移を見極めようとしているまさにその瞬間に、政府統計を入手できないというのは苦痛だ」と嘆いた。
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