- 2025/11/17 掲載
持続的・安定的な2%達成、緩和的状態が長く続くのもリスク=諮問会議で日銀総裁
Kentaro Sugiyama
[東京 17日 ロイター] - 政府が12日に開いた経済財政諮問会議で、日銀の植田和男総裁が物価上昇率に関連して「持続的・安定的に2%を達成するという観点からは、緩和的な状態があまり長く続くのもリスクがある」と発言していたことが、17日に公表された議事要旨で分かった。
民間議員の若田部昌澄・前日銀副総裁(早大教授)は、利上げや利上げメッセージを通じて経済やインフレ予想を冷え込ませることと、基調的な物価で2%を目指すことが整合的な関係にあるか、植田総裁に質問した。
植田総裁は、基調的なインフレ率は現状2%を下回っており、もう少し上がっていくということが望ましいと考えている、と説明。金利は「中立金利」よりも下の段階にあり、緩和的な金融政策基調が維持されているとの認識も示した。
一方、「長い目で見た時に、2%が持続的に達成されないといけないということは、下から上がっていくということだけではなく、2%をあまり上回り過ぎても困るということもある」と指摘。「持続的・安定的に2%を達成するという観点からは、緩和的な状態があまり長く続くのもリスクがある」とし、2%にうまく着地するようなところを適切に見極めつつ、政策を行っていくべきとの考えを示した。
高市早苗首相は、会議の締めくくり発言で、今後の「強い経済成長」と「安定的な物価上昇」の両立の実現に向けて「適切な金融政策運営が行われることは非常に重要だ」と強調。引き続き、植田総裁に諮問会議で定期的に報告するよう要請した。そのうえで「今後とも、政府・日銀が一体となって、国民経済の発展に向けて取り組んでいく」と語った。
この日は、高市政権になって初めての諮問会議で、経済対策とマクロ経済運営が議論された。民間議員4人のうち筒井義信経団連会長を除く3人が交代し、新たに永浜利広・第一生命経済研究所首席エコノミスト、南場智子ディー・エヌ・エー会長、若田部氏が参加した。
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