- 2025/11/18 掲載
欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告
ECBはかねて、銀行が関税からサイバー攻撃まで、より頻繁なショックを伴う新たな現実に直面しており、次の危機がどのようなものか把握できなくても、さまざまな可能性に備える必要があると指摘している。
そのためには、健全な資本バッファー、最新の技術インフラ、金融の現実に即した先を見越した管理、より厳格な監督などが必要となる。
<極端で確率の低い事象による前例のないリスク>
ECBは声明で「地政学的緊張と貿易政策の変化、気候・自然関連の危機、人口動態の変化、技術的混乱が構造的脆弱性を悪化させており、極端で確率の低い事象が発生する可能性がかつてないほど高まっている」と述べた。
このため、慎重なリスクテイクと十分な自己資本に重点を置き、政治的リスクや不確実性に対する銀行の強靭(きょうじん)性を強化することが、引き続きECBの監督上の最優先事項になるとした。
こうしたリスクが予測不可能なものであることを考慮し、ECBは逆ストレステストを実施する計画。資本減少のレベルを提示し、それを引き起こす可能性のあるシナリオの策定を各行に指示する。
とはいえ、今のところ銀行の状況は良好と指摘。堅調な経済成長や物価安定も寄与し、銀行は回復力があり、収益性は高く、資産の質も安定しているとした。
最低自己資本要件について、銀行全体として今年安定的に推移し、第2の柱ガイダンスと呼ばれる拘束力のない資本バッファーは緩和される見通し。
2026年の普通株式等Tier1(CET1)の全体的な要件とガイダンスは11.2%で据え置かれるとした。
<穏やかな環境は長続きせず>
しかし、ECBはこのような穏やかな環境が長続きすることはないと指摘。
「特に米欧の貿易摩擦や広範な地政学的リスクにより、多大な下振れリスクがくすぶっている。これが自動車、化学、製薬など対米輸出の多い産業に影響し、資産の質の低下を引き起こす可能性がある」と述べた。
資産価格が政治的リスクを適正に反映せず、過大評価されていると政策立案者が警告しているが、金融市場は突然修正される傾向がある。
ECBはリスクを軽減するため、慎重なリスクテイクと健全な与信基準を優先し、将来の不良債権の発生を防ぐ方針を示した。
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