• 2025/12/20 掲載

都心のビル、「東日本」教訓に受け入れ強化=情報発信継続、備蓄品も多様化―首都直下地震

時事通信社

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仕事や観光などで多くの人が集まる都心部を直撃する首都直下地震。政府が19日公表した被害想定では2013年の前回想定を約40万人上回る約840万人の帰宅困難者の発生を見込んだ。その受け入れ拠点として期待されるのが主要駅近くのオフィスや商業施設が入る高層ビルだ。管理する不動産各社は、11年の東日本大震災の経験などを踏まえ、受け入れ体制を強化している。

東日本大震災の発生当時、三菱地所は東京駅近くの「丸ビル」や「横浜ランドマークタワー」など主要ビル10棟で帰宅困難者を約3500人受け入れた。この経験を踏まえ、当時と同規模の受け入れを想定して食料や水、毛布、簡易トイレなどを3日分そろえ、イスラム教の戒律に沿ったハラル対応の食品も用意する。

丸の内運営事業部の大庭敏夫主幹は「当時、情報を求める人が多かった」と指摘。刻々と変わる交通情報やニュースの発信を続けられるよう、施設内の大型モニターの電源を非常用発電につなぐことにしたという。

「逃げ込める街」づくりを進める森ビルでは、被害確認や帰宅困難者受け入れなどの初動業務を担う社員約280人をあらかじめ決定。再開発が進んだことで、港区の「六本木ヒルズ」「虎ノ門ヒルズ」「麻布台ヒルズ」の3地区などの合計で、受け入れ人数は約1万4000人にまで増えた。備蓄食料の一部は子供や高齢者向け、アレルギーやハラル対応とするなど配慮している。

外資系企業や訪日客が多い地域であるため、日本語と英語に対応した案内看板を用意し、非常時に平易な単語でコミュニケーションを取る訓練を行うなど多言語対応も強化。細田隆災害対策室事務局長は「受け入れの実効性を高めることは、都市づくりをしている企業にとっての責任だと考えている」と語る。

東急不動産は23年以降、渋谷区とともに災害用ドローン3台を導入した。スピーカーを搭載して上空から渋谷駅周辺の人々を避難誘導する考え。同社の複合施設「渋谷サクラステージ」で最大2935人を受け入れるだけでなく、街全体の防災体制の強化も目指している。

【時事通信社】 〔写真説明〕東日本大震災発生当時に帰宅困難者を受け入れた丸ビル=2011年3月(三菱地所提供、一部画像処理しています) 〔写真説明〕東日本大震災発生時に帰宅困難者を受け入れた丸ビルで、ニュースを見る人たち=2011年3月(三菱地所提供、一部画像処理しています) 〔写真説明〕災害時に分かりやすい平易な言葉で案内する訓練の様子(森ビル提供) 〔写真説明〕災害時の帰宅困難者向けに備蓄品を配る訓練の様子(森ビル提供)

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