- 2026/01/30 掲載
マクロスコープ:FRB議長、ウォーシュ氏なら「市場に緊張感」=野村証・小清水氏
[東京 30日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の次期議長選びが佳境を迎えている。トランプ大統領は、5月に任期を終えるパウエル議長の後任人事を30日午前(日本時間30日深夜ー31日未明)に公表する意向で、最有力候補としてFRB元理事のケビン・ウォーシュ氏の名前が取りざたされている。
米国経済に詳しい野村証券の小清水直和シニア金利ストラテジストは、ウォーシュ氏について「量的緩和に対して慎重な『タカ派』として知られていたが、現在は利下げを容認する姿勢を見せている」と説明。その上で、仮に正式に指名された場合、「持論のバランスシート縮小策の内容が明らかになっておらず、マーケットの行方は非常に不透明だ。就任当初は市場に緊張感が漂うだろう」と話した。
――ウォーシュ氏が議長に就任した場合、どのような政策運営が予想されるか。
「投資銀行出身の同氏は、かつてFRB理事としてリーマン・ショックの対応にあたった際、量的緩和に対して慎重な『タカ派』として知られていた。基本的には、市場への過度な介入を嫌う共和党的な思想の持ち主だ。しかし、現在は単純なタカ派というより、独自の論理で利下げを容認する姿勢を見せている。
ポイントは、FRBのバランスシート縮小と利下げをセットで考える点にある。バランスシートを適正化して過剰流動性を抑えれば、資産効果を通じたインフレ圧力が弱まり、結果として政策金利の引き下げが可能になるというロジックだ」
「もっともトランプ氏は大幅な利下げを求めているが、ウォーシュ氏は具体的な政策金利の水準への言及を避けている。3%までの利下げを明言した別の候補者に比べ、あえて主張をぼかすことでトランプ氏との摩擦を避け、うまく意思疎通を図っている印象だ」
――トランプ氏がウォーシュ氏を高く評価している理由は。
「両者には『現在のFRBに批判的』という共通点がある。ウォーシュ氏は、新型コロナウイルス禍におけるFRBのバランスシートの急拡大こそが、足元のインフレを招いた元凶だと厳しく指摘している。彼は、中央銀行は伝統的な金融政策にフォーカスするべきだという考えを持っており、FRBは(米国債の大量購入のほか、気候変動対策や人種格差の是正など)余計なことに介入しすぎていると感じているようだ。こうした改革に意欲的な姿勢は、FRBに対して強い不満を抱くトランプ氏と方向性が一致している」
――日本のマーケットへの影響をどう見るか。
「マーケットの行方は非常に不透明だ。ウォーシュ氏が掲げるバランスシートの縮小は、米株市場にはネガティブに働く面があり、そのまま日本株に波及する恐れがある。一方で、FRBの独立性が維持されるとの安心感が広がればドル高・円安が進む可能性があり、これは日本株にとっての下支え要因となる。
米利下げ期待が先行して円高に振れた場合、日銀にとって利上げを急ぐ必要性が薄れることも考えられる。いずれにせよ同氏のバランスシート政策やFRB改革などの具体的内容が明らかになっていないため、就任当初は市場に一定の緊張感が漂うとみている」
――ウォーシュ氏以外の人物が指名される可能性は。
「まだ正式にウォーシュ氏が指名されたわけではない。トランプ氏は決定直前まで、マーケットの反応を気にする傾向がある。ウォーシュ氏が最有力候補と報じられているが、場合によっては、土壇場でほかの候補者に差し替わる可能性もゼロではないだろう」
「とはいえ、トランプ氏が本部ビル改修工事を巡りパウエル氏を刑事捜査の対象にしたことに対して、上院共和党内では異論が出ており、彼に忠誠を誓うケビン・ハセット氏(米国家経済会議=NEC=委員長)への拒否感が強まっている。その点、ブッシュ政権下で経済顧問を務めるなど、共和党内からの信頼が厚いウォーシュ氏は、議会承認を得やすい現実的な選択肢といえる」
(聞き手・小川悠介 編集:橋本浩)
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