• 2026/02/09 掲載

アングル:米株で注目される割安な中小銘柄、リスク回避の動き鮮明に

ロイター

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Suzanne McGee

[8日 ロイター] - 米株式市場は急激な変動に見舞われ、一部のセクターや資産が打撃を受けている。こうした市場環境にあって投資家は、価格変動の大きい資産でリスク許容度の見直しを進めつつ、より割安で規模の小さい企業へと目を向けている。

近年とりわけ輝きを放ってきた市場の一角で警戒感とリスク回避の姿勢が広がる一方、投資家による保有資産の入れ替えに伴って値上がりするセクターもある。例えば6日には、米国の代表的な銘柄で構成されるダウ工業株30種平均が過去最高値を更新したが、ソフトウエア株はこの1週間で時価総額が1兆ドル吹き飛んだ。

T・ロウ・プライスの資本市場戦略担当ティム・マレー氏は「市場を押し上げてきた銘柄の売りは一服したかもしれない。代わりに全く別の銘柄で積極的な買いの波が見られる」と話す。

マレー氏によると、投資家はアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベットなど、人工知能(AI)ブームを支える、いわゆるAIハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の投資リスクや、AIによって事業モデルが破壊され得る企業の下振れリスクについて検討中で「投資家は今では、おそらく無差別に割安銘柄を買い漁っている」という。

6日にはS&P総合500種が1.78%上昇し、ナスダック100も約2%反発したが、より広範な銘柄をカバーするラッセル2000指数の上昇率は3.5%とさらに目を引いた。対照的にいわゆる「マグニフィセントセブン」の一部銘柄はこの相場上昇の波に乗れなかった。アマゾンは同社が打ち出した2000億ドル規模のAI向け設備投資の収益性を巡る懸念から、株価が急落した。

<小型株が急騰>

投資家はこの数週間、長年にわたり強気相場をけん引してきたハイテク株の上昇が工業やヘルスケア、小型株に広がるとみて資金を投じてきた。

プロシェアーズのグローバル投資ストラテジスト、シメオン・ハイマン氏は「超大型ハイテク株以外の銘柄が脇に追いやられる状態がそれまで長期間にわたり続いていただけに、昨年秋に目に見え始め、この数日で非常に顕著になった上昇相場の裾野の広がりは今後も続くと思う」と予想。今回は増配銘柄や均等加重指数、小型企業が勝ち組になりそうだとの見方を示した。

こうした予想は、これまで急騰していたセクターのリスクを再評価する動きが投資家の間で起きていることが根拠となっている。再評価の対象は貴金属、ハイテク株、さらにはビットコインなどより投機的な資産だ。

「投資家は、これら全ての資産に打撃を与えたさまざまな要因に反応し、ポートフォリオを組み替えたり、最も取引が集中している投資対象から距離を置こうとしたりしている」と、バラスト・ロック・プライベート・ウェルスの資産アドバイザー、ジム・キャロル氏は指摘した。投資家は市場が「落ち着く」までの避難先を探そうとしており、こうした流れに指数が反応し、日中の値動きが「驚くほど激しくなっている」という。

<根強いAIの収益性巡る懸念>

市場の動きを注視するトレーダーは、株式市場の6日の大幅上昇を深読みすべきではないと警告する。投資家のリスクに対する姿勢は変わっておらず、これまで下げ局面で確実に買いを入れてきた多くの投資家は市場への再参入には明らかに慎重で、動きが鈍っているという。

マッコーリー・グループのグローバル為替・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は「今後、人々は強い疑念や疑問を抱き続けるだろう」と話した。これから注目されるのは、ハイパースケーラーが新たな設備投資計画からどのように利益を生み出すのか、そしてこうした設備投資が、AIによって置き換えられ得る既存事業にどの程度の打撃を与えるのかという点だ。

「iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー・ソフトウエアETF」は6日に3.5%反発したものの週間では9.1%下落しており、直前の反発で最近の下落分を全て取り戻してはいない。同様に、銀も反発したが、1オンス=90ドルを超えていた直近の高値を大きく下回ったままだ。

インフォームド・モメンタム・カンパニーの最高投資責任者兼ポートフォリオマネジャー、トラビス・プレンティス氏は「ディフェンシブ株の騰勢は本物で、単なる短期的な取引ではなく、投機的資産の巻き戻しを反映していると思う」と述べた。

こうした動きの結果として市場は、長年もてはやされてきた銘柄と、リターン狙いで注目を集める新たな銘柄との間でますます二極化していると、シティグループの米国市場ストラテジスト、スコット・クロナート氏は指摘。「われわれがAI論争に熱中している間に投資家は、保有銘柄をさらに高い価格で買い増すだけでは満足できないと思うようになり、市場は既に別の方向へ動いている。資金の流れが変わり、エネルギー、素材、生活必需品、工業などのセクターへと静かに移動している」と説明した。

クロナート氏によると、こうした景気敏感セクターは年初来の上昇率が2桁に達し、S&P総合500種の1.3%を大幅に上回っている。

同氏は「上昇相場の広がりは予想されていたが、感覚が麻痺するような、これほど荒れた形になるとは思っていなかった」と口にした。

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