• 2026/02/17 掲載

アングル:マスク氏とベゾス氏、月で真っ向勝負 民間宇宙開発競争が激化

ロイター

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Joey Roulette

[ワシントン 13日 ロイター] - 米国の富豪らが経営する宇宙開発会社の間で競争が激化している。イーロン・マスク氏のスペースXが月面基地の建設を計画する一方、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏のブルーオリジンも開発構想を加速。両社は2030年に予定されている中国の月面探査ミッションに先立ち、人類を再び月に送り込むことを目指している。

今年後半に予定されるスペースXの新規株式公開(IPO)を前に、マスク氏は最近のポッドキャストや社内会議で、月面に「ムーンベース・アルファ」という基地を建設し衛星発射装置を設置する意向を示した。この月面基地は、最大100万基の衛星で構成する人工知能(AI)処理ネットワークの構築を支えることになる。

マスク氏は月での取り組みを強化しており、スペースXの軸足を、2002年の創業以来掲げてきた火星植民地化計画から月へと移しつつある。つい昨年夏の時点では、火星に大型宇宙船「スターシップ」を打ち上げたいと述べ、月については「本筋ではない」と表現していた。

一方、ベゾス氏率いるブルーオリジンもここ数週間、月面計画に注力している。今年予定されている無人月面探査ミッションに先立ち、宇宙観光事業を休止して資源を月着陸船「ブルームーン」の開発に投入している。

マスク氏は現在、IPOを前に、スペースXが宇宙分野で今後も優位に立ち続けることを投資家に納得させたいと考えている。株式公開が実現すれば、同社の評価額は1兆ドルを超える可能性がある。同社は13日、米航空宇宙局(NASA)の飛行士を乗せた宇宙船を国際宇宙ステーションに向けて打ち上げた。

マスク氏が前週、X(旧ツイッター)で月への「方針転換」について相次いで投稿したのに対し、ベゾス氏はイソップ童話「ウサギとカメ」を連想させるカメのモノクロ画像を投稿した。ブルーオリジンはこの寓話にちなんだ「一歩一歩、猛々しく」を意味するラテン語「Gradatim Ferociter」をモットーに掲げている。

他の宇宙企業の幹部らは、この2社と米政府による新たな月面探査への支出増加で恩恵を受けると期待しているという。

<ベゾス氏、マスク氏を猛追>

ブルーオリジンの今年の無人月探査ミッションは、宇宙飛行士の月面着陸に向けた準備段階であり、NASAが主導する国際月探査「アルテミス計画」の一部だ。この計画はスペースXのスターシップにも大きく依存している。

シアトルを拠点とするブルーオリジンの着陸機は打ち上げに向けた重要な開発段階として、熱および真空試験のためテキサス州にあるNASAのジョンソン宇宙センターに輸送された。

ブルーオリジンとスペースXは月着陸船の開発に当たり、NASAから数十億ドル規模の資金提供を受けている。NASAはスペースXのスターシップを手始めに、一連の宇宙飛行士による月面着陸にこれらの船を使用することを目指している。1969年に人類初の月面着陸を達成し、72年に終了したアポロ計画では計12人の米国人宇宙飛行士が月面を歩いた。

NASAにとって月探査は、将来の火星探査に向けた実証の場との位置付けだ。2030年の月面着陸を目標とする中国との宇宙開発競争に勝つため、各社に対し月着陸船の開発を加速するよう強く求めている。

マスク氏は月面に「自立発展都市」を建設し、AI処理用衛星を打ち上げることで数段踏み込みたいと述べた。これは、今月スペースXが同氏のxAIを買収したことを踏まえ、AI処理を宇宙空間に広げるという同氏の大きな構想の一環だ。

宇宙専門投資会社プロキュアAMのアンドリュー・チャニン最高経営責任者(CEO)はこう述べた。「もし月が戦略的な出発点となり、スペースXにとって重要なものとなった場合、同社が先に、あるいは早期に月に到達してインフラを構築できれば、インフラの利用方法や自社がどう使うかについて発言権を持つ可能性がある」

<波及効果で宇宙企業を後押し>

スペースXの宇宙船スターシップは物資などをまだ軌道上に投入していないものの、2023年以降11回の打ち上げを実施しており、1カ月後には改良型の試験が予定されている。月着陸船として機能する上段は28年の有人月面着陸を目標としているが、業界内では達成が困難だとの見方が多い。

スターシップを月着陸船として確立するまでには、軌道上で別の「タンカー」型スターシップとの独自の軌道上燃料補給方式を実証することや、宇宙飛行士を搭乗させる前に月の起伏の多い地表へ確実に着陸することなど、なお多くの段階が残されている。

NASAで有人宇宙飛行部門を率いたキャシー・ルーダーズ氏は、スペースXに移りスターシップ開発を統括した。現在は独立系の業界アドバイザーを務める同氏は、マスク氏が月に重点を置くようになったことでブルーオリジンとの競争が激化し、NASAの対中競争を後押ししていると指摘した。

「マスク氏がこうした発言をしたことで、スペースXは現在、月への再進出に全力を注いでいる」とルーダーズ氏は付け加えた。

マスク氏とベゾス氏の競争は、まだ黎明期にある米国の他の月関連産業にも波及している。

月面インフラの建設計画に先立ち、探査車を月に送り込んだルナ・アウトポストのジャスティン・サイラスCEOは「今週は20人の投資家から連絡があった」と述べた。

サイラス氏は「ここ2年間で、月面ビジネスに関心を持つ投資家の考え方は明らかに変化している。マスク氏の発表によって、その変化は一段と加速したと思う」とも語った。

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