- 2026/03/24 掲載
NY市場サマリー(23日)ドル下落、利回り低下 株大幅反発 トランプ氏がイラン攻撃延期表明
<債券> 国債利回りが低下した。取引序盤には数カ月ぶり高水準を付けていたものの、トランプ大統領がイランのエネルギーインフラへの攻撃計画を延期すると表明したことを受け、上昇幅を縮小した。 10年債利回りはオーバーナイト取引で一時、8カ月ぶりの高水準となる4.445%まで上昇していたものの、トランプ氏の発言を受けて一時、4.305%まで低下。終盤では4.33%で推移した。 金利動向に敏感な2年債利回りは3.824%。序盤の取引では7月以来の高水準となる4.016%まで上昇していた。トランプ氏は、米国はイランと過去24時間の間に協議を実施し、攻撃の終結に向けた合意が近く成立する可能性があるとの認識を示した。ただ、イランは協議の実施を否定している。ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・ルバス氏は、市場がトランプ氏の最新の動向と、先週の米連邦準備理事会(FRB)による金利据え置き決定を材料視する中、利回りは序盤に高水準を付けて以降、不安定な動きを見せたと指摘。その上でこの日の動きは、「これ以上マイナス材料が出てこなかったことと、先週崩れていたポジションの調整が行われたこと」が背景にあると述べた。2年債と10年債の利回り格差は49.5ベーシスポイント(bp)。23日午前の時点で、市場が織り込むFRBが4月の会合で利上げを実施しない確率は91.7%となっている。
<株式> 大幅反発して取引を終えた。米主要株価指数は1%超上昇した。トランプ米大統領が、イラン発電所やエネルギーインフラへの攻撃を5日間延期すると表明し、原油価格が大幅下落したことが材料となった。nL6N40B0N9nL6N40B1A8ただ、イランのモハンマドバゲル・ガリバフ国会議長は23日、米国との間でいかなる協議も行われていないとXに投稿。トランプ氏の発表と矛盾する発言を行った。nL6N40B116 インガルス・アンド・スナイダーのシニアポートフォリオストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「誰の言葉を信じるべきか分からないが、イラン側が強く否定しているにもかかわらず、トランプ氏は戦争を解決するためにイランの誰かと協議を始めようとしているようだ」と指摘。「これが今日の株価に大きな楽観をもたらし、市場は大幅に上昇した。ただ、イラン側の否定を受けて日中高値からは押し戻された」と語った。23日の原油先物は10%以上下落した。これを受け、主要株価3指数の上昇率は2月6日以来の大きさとなった。nL6N40B1A8 投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は一時、2週間ぶりの高水準となる31.04を付けた後、後退した。ただ、この日の下げ幅は縮小し、0.63ポイント安の26.15で取引を終えた。 S&P総合500種の主要11業種は全てが上昇。一般消費財が2.4%高となるなど景気敏感セクターが大きく上げた。一方、ヘルスケアはほぼ横ばい、主要消費財は0.37%高と、ディフェンシブセクターは低調だった。 クロスマーク・グローバル・インベストメンツのボブ・ドール最高投資責任者(CIO)は「今後もボラティリティーは続く見込みで、全ては原油価格次第だ。短期的には人々が気にするのはそれ以外には何もない。原油価格が下落すれば株価は上昇し、その逆もまた然りだ」とし、今日最も上昇している銘柄には驚きはなく、経済動向に敏感なセクターの銘柄だと話した。 CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む米連邦準備理事会(FRB)による12月の利上げ確率は前営業日の25%強から約13%に低下した。 金利動向に敏感な小型株で構成するラッセル2000指数は2.3%上昇し、大型株をアウトパフォームした。 ジェット燃料費に影響することから原油価格動向に敏感な航空株が買われた。アラスカ航空とユナイテッド航空はともに4%超上昇、アメリカン航空は3.66%上昇した。クルーズ船運航会社も買われ、ノルウェージャン・クルーズ・ラインは6%以上上昇、カーニバルとバイキング・ホールディングスは5%以上上昇した。 S&P500銀行指数は1%超上昇し、2月25日以来の大幅な上昇率を記録した。JPモルガン・チェースは1.2%高、ゴールドマン・サックスは2.2%高。
<金先物> FRBなどによる早期の利下げ観測が後退する中で売 られ、4営業日続落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前週末比167.6 0ドル(3.66%)安の1オンス=4407.30ドルと、中心限月の清算値ベースで1月初旬以来約2カ月半ぶりの安値を付けた。
インフレ再燃への警戒感が強まる中、FRBを含む世界各国の中央銀行が利下げに慎重となるとの見方は根強く、金利の付かない資産である金の投資妙味が減退、金は引き続き 売り地合いが続いた。米国とイスラエルによるイランとの軍事衝突開始以降、これまで急速に上昇してきた金は、利益確定売りも出やすい。
サクソバンクの商品戦略責任者オール・ハンセン氏は23日付のリポートで、金相場が 2023年以来初めて200日移動平均の水準に戻り、下落の大きさを浮き彫りにしていると指摘。同氏はその上で「買い持ちポジションの手じまい売り、ストップロスの発動、 流動性を確保するための投資家らの売り」などにより、金は現在の環境下で下落リスクに さらされている資産の一つとして浮上していると述べた。
<米原油先物> トランプ米大統領がイランとの対話進展を明かしたことで、中東産エネルギーの供給不安が大きく後退し、急落した。この日から中心限月に繰り上がった米国産標準油 種WTI5月物の清算値(終値に相当)は、前週末比10.10ドル(10.28%)安 の1バレル=88.13ドル。6月物は9.37ドル安の85.37ドルだった。
トランプ米大統領は23日朝、イランとの敵対関係の「完全かつ全面的な解決」に向け、「生産的な対話を行った」とSNSに投稿。対話継続の意向を示すとともに、イランの発 電所などを攻撃する計画の延期を指示したことを明らかにした。これを受け、イランがホ ルムズ海峡の開放を拒み、双方がエネルギー関連インフラの破壊を加速させるとの懸念が後退。相場は未明に再び100ドルの大台を突破していたが、あと売りが殺到、一時84 ドル台まで下押しされた。
一方、イラン側は対話の事実を否定。「交渉はこれまでも行われておらず、今後も予定 はない」と強調したため、昼ごろから買い戻しが入り、下げ幅の一部を縮小。ロイターは、米イスラエルとイランの紛争により、湾岸諸国の原油生産は最大で日量1000万バレル減少と報道。国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は、1970年代の2度の石油危機を合わせたよりも損害が大きいと指摘した。取引終盤には、イランと近く対面会合を開くとのトランプ氏発言が伝わったが、相場の反応は限定的だった。
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