- 2026/08/05 07:10 掲載
情シス騒然、マイクロソフトが「印刷管理」刷新…ついに古いWindows管理は消えるのか
「今さら印刷?」情シスが騒然となったワケ
米マイクロソフトが2026年7月31日に公開したWindows 11 Insider Experimental Preview Build 26300.9032で、新しい「Print Management」アプリが確認された。プリンタの設定画面ではなく、企業の情シス担当者などが印刷サーバや印刷キュー、ドライバを管理するための専門ツールである。新アプリの存在を報じたWindows Latest によると、従来のMicrosoft Management Console(MMC)上で動く「印刷の管理」とは別に、独立したWindowsアプリとして用意されるという。画面にはWindows 11らしいデザインを採用しながら、プリンタ、ドライバ、ポートなど、従来版の主要な管理項目も残っている。
ただし、現時点では正式な置き換えではなく、従来のMMC版と併存しているほか、新アプリを正常に開くには、利用者が手動で「管理者として実行」を選ぶ必要がある。一部の画面は新しくなったものの、操作を進めると旧式のダイアログが表示される場面もあるという。
それでも、Redditでは大きな話題を集めており、歓迎する声がある一方、「必要な機能が減るのではないか」「古いプリンタや特殊な印刷工程に影響しないか」といった慎重な意見も目立つ。
印刷管理は地味に見えるが、企業では依然として業務を止めかねない重要領域だ。だからこそ、単なる見た目の変更がこれほど注目された。
なぜ「印刷管理」だけがMMCに残り続けたのか
従来の「印刷の管理」は、家庭用PCでプリンタを追加するための設定画面とは役割が異なる。複数の印刷サーバに接続し、登録されたプリンタ、印刷キュー、ドライバ、ポート、共有設定などを1つの画面から確認する管理コンソールだ。遠隔地の印刷サーバを管理したり、プリンタ環境を別のサーバへ移行したりする用途でも使われてきた。Windowsの印刷処理では、利用者が送ったデータを印刷スプーラが一時的に受け取り、印刷キュー、プリンタドライバ、通信ポートを経由して実機へ届ける。どれか1つに不具合が起きれば、「プリンタがオフラインになる」「特定の文書だけ印刷できない」「大量のジョブがキューに残る」といった障害につながる構造だ 。
さらに、企業の印刷環境は一様ではない。ホチキス留めや製本、特殊な用紙サイズ、部門ごとの利用者認証、印刷枚数の集計、基幹システムからの帳票出力など、メーカーや機種に依存した機能が数多く残っている。工場、医療機関、物流拠点などでは、導入から10年以上が経過したプリンタやラベル発行機を使い続ける例も珍しくない。
そのためマイクロソフトは、管理画面だけを新しくして従来版をすぐに廃止することが難しい。新アプリで操作項目が1つ欠けるだけでも、現場によっては業務上の大きな問題となり得るからだ。海外の情シス担当者が「旧版を残してほしい」と訴える背景には、デザインへの好みではなく、こうした後方互換性への警戒がある。
一方、日常的な設定変更をPowerShellで自動化している企業もある。マイクロソフトのPrintManagementモジュールでは、プリンタ、ドライバ、ポートの追加や削除、印刷ジョブの再開などをコマンドで実行できる。新アプリが普及するには、従来の画面操作だけでなく、こうした自動化や遠隔管理との一貫性も欠かせない。長年残った理由は、古いからではなく、企業の複雑な運用を背負ってきたからである。 【次ページ】本命はUI刷新ではない、マイクロソフトの安全化戦略
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