- 2020/09/04 掲載
米FRB当局者、2.4%前後のインフレ率に違和感ないと示唆
複数のFRB当局者によるここ数日の発言は、FRBがインフレ押し上げに向けてより緩和的なスタンスに直ちにシフトする可能性は示唆していない。大半の当局者が、景気支援のための次の措置は、議会が実施すべきだと考えていることが示された。
シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は3日、インディアナ州ハモンドのレイクショア商工会議所向けの講演で「党利党略の政治によって、追加的な財政支援が脅威にさらされている」と述べ、追加の新型コロナウイルス対策を巡り対立を続ける与野党を厳しく批判。「対応がとられない、もしくは不十分な場合、経済に対する極めて大きな下振れリスクとなる」と述べた。
ただ、エバンズ総裁は新型コロナ感染が収束し、失業率がある程度低下した段階で、FRBとして緩和政策の強化が必要になる可能性を示唆。
インフレ率が2.5%に達するまで、政策金利をゼロ%近辺にとどめると表明する方法があり得るとの考えを示した。総裁は記者団に対し電話で「極めて低いインフレ率を平均化するためなら、インフレ率が2.5%に上昇しても容認できる」と述べた。
FRBは8月27日、インフレ率が「一時的に」2%を上回ることを容認し、長期的に平均2%の目標達成を目指すほか、最大雇用の確保を図る新戦略を発表した。
エバンズ総裁は、インフレ率が2.5%以内にとどまる限り、失業率が6.5%を下回るまで利上げしないという、FRBが2012年に採用したアプローチを考案した。
同総裁は「FRBが2012年に行った方法に魅力がないわけではないが、現在の環境はやや異なる。今は平均で2%にすることを望んでいる」と語った。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁も3日、物価が安定している限り、インフレ率がFRBの目標である2%を超えて最高2.4%近辺まで上昇することを懸念視しないと語った。
ボスティック総裁は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、利上げ時期の見極めにはインフレ率の水準よりも、軌道が一層注目されると指摘。
「インフレの軌道がわれわれの目標を大幅に外れる状況に陥らないことを示唆する限り、経済を成り行きに任せ展開させることに違和感はない」と述べた。
FRBがインフレ指標として重視するコアPCE価格指数は、2006年と07年に何度か2.4%を上回ったが、最後にこの水準を持続的に上回ったのは1990年代初めだ。
*内容を追加しました。
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