• 2020/11/29 掲載

コメ、減らぬ生産減る消費=需給差解消へ転作支援―農水省

時事通信社

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日本人の主食の地位を長年守ってきたコメの在庫が積み上がっている。人口減や消費者の「コメ離れ」が進む一方、作付けが減らないためで、今年9月の新米価格(60キロ当たり、農協・卸売業者取引)の平均は前年比676円安の1万5143円と2014年以来6年ぶりに下落。農林水産省はコメ農家を対象に需要の多い野菜や大豆などへの転作支援を拡充する方針だが、慣れ親しんだ稲作からの転換を促せるかは不透明だ。

野菜への転作に加え、輸出用・飼料用米など主食米以外への用途変更に対する助成制度は存在するが、これまでの主食用米価格の高止まりや労力増加への懸念から活用は進んでいない。現状は減産に応じる農家と応じない農家が同じ米価で出荷できるため、「正直者がばかを見る」(全国農業協同組合中央会の中家徹会長)との率直な意見も聞かれる。

農水省は2020年度第3次補正予算案と21年度予算案で、転作や用途変更を促す交付金増額を検討。コメ農家の不公平感を回避するため、生産地域全体として最適な品目構成を考えるとともに、各品目を手掛ける農家が同じ水準の収入を得られる仕組みも導入する。

ただ、例年3000億円規模に上るコメ対策費の膨張に財務当局は警戒を強めており、予算折衝は難航しそうだ。用途変更のうち、家畜の餌になる飼料用米は農家が取り組みやすいものの収益性が低く、交付金に「過度に依存する」(財務省)として否定的だ。

一方、新型コロナウイルスの影響から積み上がった足元のコメ余りを解消するため、農協の間には政府備蓄米として買い取るよう求める声が多い。農水省は「備蓄は需給操作のための制度ではない」(幹部)と突き放す構えだが、来年選挙を控える農林族議員が食い下がる可能性もある。

稲作は食料の安定供給や国土保全など重要な役割を担うが、多額の予算確保には農家の自助努力が欠かせない。国による生産調整(減反)が終わった今、野上浩太郎農水相は「コメ政策の基本は自らの経営判断による需要に応じた生産・販売」とクギを刺している。

【時事通信社】 〔写真説明〕あきたこまちの稲刈り=秋田県美郷町

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