- 2020/12/03 掲載
米EUの貿易摩擦終結を、バイデン氏就任後=欧州委
トランプ米大統領による4年間に及ぶ「米国第一」政策で、米国は国家安全保障を理由に欧州製品に関税をかけてきた。EUはバイデン氏が就任してからほぼ全ての課題について緊密な協調関係を築く姿勢だ。
欧州委はEUの各国政府に対する提案書で、米国とEUは「貿易摩擦を解消するために協力しなければならない」と述べた。EUと米国の貿易が世界の貿易量の3分の1を占めると指摘した。
ただ、ボレル外交安全保障上級代表が公表した12ページにおよぶ提案書は、「人間の尊厳と個人の権利、民主主義の原則に関して共有する価値観」を主張する以外は、どのように摩擦を解消するかについては言及していない。
ボレル氏は記者会見で「米国とは、合意できない際の手段である 世界貿易機関(WTO)を通すのではなく、友好的な合意があることが望ましい」と述べた。
EUの鉄鋼とアルミニウムに対する米国の関税に関してEUは異議を申し立てており、WTOの裁定を待っている。EUはWTOの紛争解決を待つのではなく米国と話し合うことを望むとボレル氏は述べた。
北大西洋条約機構(NATO)と同様にEUは2021年にバイデン氏と首脳会談を設けたい意向だ。EUは12月10日の首脳会談でEUのを話し合う。
EUと米国は、航空機の補助金を巡る紛争に関連し関税を互いに課している。EUのテクノロジー企業に対する課税計画を巡り、米国はEUに対して追加課税すると主張している。
EUと米国はWTOやその紛争処理機関に対する考え方が異なる。WTOは、最高裁の判事に当たる上級委員会の委員任命を米国が拒否していることに伴い、機能不全に陥っている。
EUは提案書で、第一歩はEUと米国がWTOの新たな事務局長を確定させ「上級委員会を改革することで必要不可欠な紛争処理機能を復帰させる方法を模索する」ことだと述べた。
欧州委はまた、EUと米国が大手テクノロジー企業の影響力に関して「大西洋対話」を始め、こうした企業に対する課税や「市場のひずみ」に対処する方法を見出すべきだと述べた。
そのほか、次世代通信網「5G」ネットワークやAI(人工知能)、データの流れ、規制と基準に関する協力を課題として挙げた。
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