- 2021/03/07 掲載
みずほ障害、根深さ感じる=東洋大学の島田教授に聞く
みずほ銀行のシステム障害では、キャッシュカードなどが現金自動預払機(ATM)から戻らず、多くの利用者が長時間待たされる被害が発生した。第一勧業、富士、日本興業の3行統合で2002年に発足後、みずほの大規模システム障害は3度目だ。なぜ問題が繰り返されるのか、検証のポイントを銀行を含むシステム監査に詳しい東洋大学の島田裕次教授に聞いた。
―再び大規模システム障害が起きた。
とても驚いているし、「またか」とも思う。(19年に全面稼働した)新システムは比較的順調に稼働していると思っていたが、もっと深いところに問題があるのではないか。3行が統合して約20年たつが、まだ目に見えないところに課題があるかもしれない。
―月末の臨時データ処理が一因とされる。
普通、月末の日曜日などシステムに負荷が掛かるタイミングは、移行作業を避ける。過去の情報も持っていたはずなのに、なぜこのような判断になったのか。早くやりたい理由があったのかもしれない。どのようなポジションの人が実行の判断を下し、その判断に当たっては営業部門の統括なども含めて議論したのかというリスク評価態勢の妥当性が問われる。
―障害判明から顧客対応まで時間を要した。
対応が後手に回っている。例外的なデータ処理を行うときには、必ず緊急時の対応策をつくり、人員を増やしたりするものだが、どのような計画を立てていたのか。特に直接顧客に関係するATMへの影響分析ができていたのか疑問だ。ATMを停止するという選択肢もあったと思う。顧客に関わる想定外のトラブルが起きたら、経営陣にすぐに報告を上げ、判断を仰ぐことがリスク管理の上で大事だ。
―デジタル口座への移行作業で障害が起きた。
デジタル化が進むにつれて、扱うデータ量は増えてくる。メガバンクに限らず、地方銀行や信用金庫でもデジタル化が課題になっており、しっかり原因を究明し他の金融機関の参考になるところがあれば公開してほしい。
【時事通信社】
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