- 2021/03/30 掲載
リモート積極活用、金融庁とも連携強める=21年度・日銀考査方針
<金融庁との連携強化>
20年度は考査の実施を見合わせ、「考査に準ずる調査」を実施してきたが、資金繰り支援業務に伴う取引先金融機関の繁忙度は一時に比べて落ち着きをみせており、21年度は考査を再開する。日程調整など金融機関の実情に最大限配慮するほか、リスクの所在や収益力・経営体力の状況等に応じて、調査にめりはりをつける。日銀・金融機構局の肥後秀明考査企画課長は30日の記者説明で、金融機関への立ち入り調査について「感染症拡大を防止する観点から、当面控えるべきと考えている」と述べた。
今回の考査方針は、金融庁との連携強化を強調した。日銀考査と金融庁検査で計画の調整を行うほか、結果の情報共有や金融機関から提出を受けるデータの一元化などを図る。大手金融機関については、金融庁と連携しつつ年1回程度の頻度で、オフサイトモニタリングの一環として、共通シナリオに基づく一斉ストレステストや外貨流動性リスク管理、サイバーセキュリティーに関する水平レビューを行う。随時に金融庁と共同でヒアリング調査も行う。
<地域金融機関>
日銀は、地域金融強化のための特別当座預金制度を3年間の時限措置として導入した。考査では地域経済を支えるための取り組みについて、地域金融機関との対話を深めていく。
地域金融機関の経営陣が持続性の高い利益と経営体力を的確に把握し、これらを維持・改善する施策を講じているか、コロナ禍を踏まえた与信管理強化や企業の経営改善支援による信用コスト抑制策を取っているか、店舗運営や人員配置の最適化に取り組んでいるか、といったことも点検する。
<気候変動>
気候変動リスクの対応については、経営上の位置付けやストレステストの活用などの取り組み状況を確認する。
日銀はモデルを使い、金融ショックが起きた場合の数年先までの影響分析を金融システムリポートで公表しているが、肥後課長は「気候変動については、現時点で確立した分析手法はない」と指摘。現時点で、当局からこうあるべきだというモデルを示しながら金融機関と対話することはできないため、「金融機関が考えていることを聞きながら、どういったものが望ましいのか、先行きどのくらいの長さで見ていけばいいのかというところから議論・対話していく」と述べた。
(杉山健太郎、和田崇彦 編集:青山敦子)
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