- 2021/06/16 掲載
英、EUに金融サービス巡る早期協議を要求
英国は昨年末にEUから完全に離脱。英金融部門のEU市場へのアクセスに制限が設けられた。ユーロ建ての株やデリバティブの取引拠点は既にロンドンを離れている。
英国とEUは、金融ルールに関して非公式の協議の場(フォーラム)を設けることに合意しているが、まだ実現していない。英財務省のキャサリン・ブラディック金融サービス局長は、英金融団体「ザ・シティーUK」の年次会合で、早期の対話実施を望むと強調し、「覚書が交わされれば、定期協議の設定に着手できるはずだ」と述べた。
フォーラムは市場アクセスそのものを交渉する場ではないが、関係改善に不可欠と考えられている。同氏はフォーラムによって英・EU関係に「信頼と理解が可能で透明性のある土台」ができ、企業に確実性をもたらすことになるとの見方を示した。
EU欧州委員会で金融サービス部門を統括するジョン・ベリガン氏はEUは域外に対して依然開かれているとし、「関与を停止するつもりはない」と述べた。
欧州委は、同フォーラムを承認する作業が進行しているとした。
英国にとって差し迫った問題は、ロンドン証取がEU域内の顧客向けにユーロ建てデリバティブの清算をする許可が2022年6月に切れるという問題だ。欧州市場の分断が懸念されている。
これについてロンドン証取のデービッド・シュワイマー最高経営責任者(CEO)は別のイベントで、「EUが開かれた状態を維持し、保護主義の衝動に抵抗することが非常に重要」と強調。
「EUがこれほど成功してきた理由は、EUが世界に開かれており、国際的なエコシステムに組み入れられてきたからだ」と述べた。EU企業はデリバティブ清算に関し、域外企業と同等の流動性、サービス、データ、IT能力へのアクセスを認められるべきだとした。
英国はEUの金融ルールに縛られなくなったため、ロンドンの金融街シティーの国際競争力を高めるために規制を見直している。ブラディック氏は国際基準の枠組み内でルールを調整する必要があり、現行ルールを撤廃するという意味ではないとした。
「リスク選好度や金融規制について価値観に大きな隔たりがあるという見方は全くの間違いだ」と強調した。
英財務省は2021年第4・四半期に法人向け金融サービスの詳しい改革案を示す見通し。
PR
PR
PR