- 2021/06/17 掲載
気候変動で株主提案活発化=企業は対応アピール―6月総会
多くの3月期決算企業が今月開く株主総会で、気候変動への対策強化を求める株主提案の動きが広がっている。対する企業側は自社の取り組みをアピール。環境問題への関心の高まりを受け、総会での主要テーマになりつつある。
気候変動関連の株主提案は近年、海外で増加してきた。国内では電力会社以外で昨年1件だったが、今年は金融や商社などに対し出されている。
NPO法人「気候ネットワーク」は、三菱UFJフィナンシャル・グループに対し、地球温暖化対策につながる投融資計画の開示を定款で定めるよう求め、他の環境団体とともに株主提案した。気候ネットは昨年、みずほフィナンシャルグループに同様の提案を初めて実施。否決されたが、3割超の支持を得て関係者を驚かせた。
気候ネットの平田仁子理事は「金融機関は責任ある融資を行う必要がある」と指摘。3分の2の賛成が必要な定款変更の難しさを認めつつ、「提案することで取締役会が対策の検討を迫られる」と強調する。今回は国内外の機関投資家から提案内容の説明を求められるなど大きな変化も感じているという。
住友商事や包装容器メーカーの東洋製罐グループホールディングスには、オーストラリアの環境団体と香港のファンドがそれぞれ情報開示の強化などを求めて株主提案。関西電力には京都市が石炭火力発電所の新設中止などを提案した。
これらの株主提案に対し、各社は既に環境対策に力を入れているなどとして反対の立場だ。三菱UFJは5月、2050年までに投融資先の温室効果ガス排出実質ゼロを目指すと表明し、投資家に理解を求めている。
今月の総会では招集通知に気候変動や社会課題への対応状況を掲載する企業が急増した。三井住友信託銀行によると、こうした企業は309社と昨年の約2倍に上る。
【時事通信社】
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