- 2021/08/19 掲載
オムロンヘルスケア、インドにて遠隔診療サービスの共同試験を開始
世界心臓連合(World Heart Federation)によると、世界の脳・心血管疾患による死亡者数は、推定1,850万人/年といわれており(*1)、そのうち4分の3以上が低所得国と中所得国(インド含む)で発生しています。インドにおける心疾患患者数は年々増加しており、2020年には290万人に達しています。その数は、今後さらに増加すると見込まれています。また、心房細動に関する調査では、27%の患者がアブレーション治療後に心房細動を再発しています(*2)。このことから、脳・心血管疾患は治療期間中に加え、治療後のケアも重要な疾患だと言えます。
今回の共同試験では、2つの事に取り組みます。まず、家庭で記録した心電図をモニタリングするための遠隔診療サービスの構造を検証します。さらに、AIを活用することで、術後患者へのタイムリーな介入が可能かどうかを確認します。対象者は、サクラワールドホスピタルで心疾患の外科手術もしくはアブレーション治療を受けた患者となります。患者は、当社の心電計付き上腕式血圧計"Complete"を使用して、家庭で血圧測定と心電図記録を行います。取得したデータは、トライコグのプラットフォームに転送され、トライコグのAI技術解析により患者の状態を詳しく分析します。サクラワールドホスピタルの医師や医療従事者は、その分析データを用いて、患者の状態変化に応じた早期介入や、術後管理の適正化を行っていきます。
オムロンヘルスケアは、「脳・心血管疾患の発症ゼロ」の実現を目指し、2015年に循環器疾患事業ビジョンに「ゼロイベント」を掲げました。その一環として、ウェアラブル血圧計など新たな製品開発を積極的に進めており、2019年には米国で心電計付き上腕式血圧計"Complete"の発売を開始しました。脳卒中を引き起こすと言われる心房細動は自覚症状が少なく、すぐに症状が治まるため見過ごしやすいのが課題です。また、心房細動患者の50~60%は高血圧だと言われています。家庭で、毎日の血圧測定と共に心電図を記録することで、リスクの早期発見、治療への介入につながると考えています。また、米国、英国、シンガポールでは、遠隔診療サービスの展開を開始。家庭で測定した血圧などのバイタルデータを医師や医療従事者と共有し、患者の状態を詳しく把握することで、タイムリーかつ適切な治療を行える環境づくりを進めています。
「ゼロイベント」を実現するためには、心疾患患者の術後の再発防止は重要なテーマです。有力なパートナーシップと、貴重な医療現場および患者の声を積極的に取り入れることで、一人でも多くの方の健康で健やかな生活に貢献していきます。
※1 https://world-heart-federation.org/what-is-cvd/
※2 『Worldwide Survey on the Methods, Efficacy, and Safety of Catheter Ablation for Human Atrial Fibrillation, 2005 (心房細動に対するカテーテルアブレーションの手技および有効性と安全性についての世界調査)2005』、 Riccardo Cappato, MD; Hugh Calkins, MD; Shih-Ann Chen, MD; Wyn Davies, MD; Yoshito Iesaka, MD; Jonathan Kalman, MD; You-Ho Kim, MD; George Klein, MD; Douglas Packer, MD; Allan Skanes, MD著 *
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