- 2021/09/04 掲載
米雇用が失速、8月23.5万人増 デルタ株直撃 失業率5.2%に改善
7月の雇用者数は105万3000人増へ上方改定された。雇用者数がピークに達した2020年2月以降、なお530万人程度の雇用が失われていることになる。
こうした中、8月の失業率は5.2%と、7月の5.4%から改善した。ただ、調査で「雇用されているが休職中」と誤って回答している人がいるため、低めの数字になっている。
8月の雇用統計は予想より少なく、20年を含む最近数年の7月までの3カ月平均も下回った。8月の統計は過去12年間のうち、11年間でその後上方修正されている。
雇用者数の内訳は、レジャー・接客の伸びがゼロとなったほか、レストラン・バーは4万2000人減少。小売りも2万9000人減った。一方、芸術・娯楽・レクリエーションは3万6000人増加。専門職・企業サービスや運輸・倉庫、製造業も伸びた。
政府部門は教育関連が2万1000人減少。雇用統計を作成している労働統計局では「コロナ禍に関連した公立・私立教育機関の職員の変動が通常の季節的な雇用・解雇パターンをゆがめており、最近の雇用の変化に関する解釈を難しくしている」と認めた。
生産活動に従事し得る年齢の人口に占める働く意志を表明している人の割合、いわゆる労働参加率は61.7%と、7月から横ばい。恒久失業者は44万3000人減少し250万人。長期失業者も前月の340万人から320万人に減った。失業者全体に占める割合は37.4%。失業期間は7月の15.2週間から14.7週間に縮小した。
デルタ株のまん延や原材料不足による自動車販売と在庫の低迷により、エコノミストは第3・四半期の国内総生産(GDP)予想を大きく下方修正している。
米連邦準備理事会(FRB)がテーパリング(量的緩和の縮小)を始める時期を推し量るため、投資家は雇用統計の結果に注目。パウエル議長は先週、景気回復が続いていることを認めたが、テーパリング開始時期については「年内」が適切との見方を示しながらも、具体的な時期については明言を避けた。
複数のエコノミストは予想を下回った今回の雇用統計が、「年内」開始をFRBが取り下げるほど弱くはなかったと考えている。
原材料不足で企業は在庫の補充に苦労している。自動車販売は8月に10.7%下落し、ゴールドマン・サックスやJPモルガンは第3・四半期のGDP予想を高いもので年率8.25%増から、低いもので同3.5%増へ引き下げた。第2・四半期は6.6%増だった。
新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は労働市場を一変させ、870万人が失業しているにもかかわらず、人手不足の状況になっている。6月の求人件数は1010万件と過去最高だった。
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