• 2021/09/09 掲載

主流派経済学の金融政策、有効性に疑問符=白川前日銀総裁

ロイター

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[東京 8日 ロイター] - 白川方明・前日本銀行総裁は8日のオンラインセミナーで、主要先進国の中央銀行がゼロ金利制約に直面する中、主流派経済学とその金融政策の処方箋の有効性に疑問が浮上しつつあるとの認識を示した。

白川氏は「日本ではアベノミクスに対する熱狂がしばらく続いた中、(日銀の)バランスシートは大きく膨らんだ。だが、インフレ率は全く反応せず、現在は若干のマイナス圏にある」と指摘。当局者が対応すべき問題は、低インフレという現象そのものではなく、生産年齢人口の減少といった構造的な要因であると指摘し、「デフレや日銀の対応不足が日本経済の長期停滞を招いた」との、かつての欧米当局者やエコノミストの見方を批判した。

その上で、白川氏は「現在、先進国の政策金利はどこもゼロだ。日銀がゼロ金利政策や量的緩和政策を実施していた2000年初めには予想できなかったことだ」と発言。そうした中においても「(デフレ対応に失敗した)日本の経験から学ぶべき、との海外の見方はなかなか消えない」とした。先進各国が長期にわたり低金利政策を続ける中、将来の需要の前借りにより足元の景気を刺激する、との主流派マクロ経済学に基づいた金融政策の処方箋に「疑問符がつきつつあり、その有効性を検証する必要がある」と述べた。

白川氏は2013年まで総裁を務め、リーマンショックや東日本大震災への金融政策対応に奔走した。現在の資産買い入れプログラムの原型となる緩和政策を断続的に打ち出したが、急速な円高や長引くデフレに対し、より強力な措置を求める政治や世論の圧力に直面した。8月に「TUMULTUOUS TIMES」(激動の時代)と題した英語の著書を出版したが、「アメリカの学者は当時、量的緩和政策の効果に自信を持っていた。そうした海外の学者や当局者からの、日銀の政策運営に対する批判への反論をこめた」と述べた。

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