• 2021/10/06 掲載

中銀の気候変動対策には限界、ノーベル賞受賞経済学者が指摘

ロイター

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[ロンドン 5日 ロイター] - 2013年にノーベル経済学賞を受賞したラース・ピーター・ハンセン・シカゴ大学教授は、ロイターとの電話インタビューに応じ、中央銀行の気候変動対策には限界があるとの認識を示した。

ハンセン氏は、特に主要国の中銀が商業銀行を対象とした気候リスクのストレステスト(健全性審査)の実施に動いていることに懸念を表明。

炭素税やグリーン技術への補助金といった財政政策は、温室効果ガスの排出削減に影響を及ぼせるが、中銀が金融政策や銀行監督などを通じて排出量に影響を及ぼせることは、立証されていないと述べた。

同氏は「(中銀の)手段は相対的に限られており、うまくできないことをできると認識してしまうことを懸念している」と発言。

気候リスクのストレステストについては「非常に難しい課題に対処するうわべだけの試み」で、気候リスクのエクスポージャーを特定できるか疑問だとし、過去にそうした作業を行った経験がないことや、気候リスクのエクスポージャーがさまざまな変数の影響を受けて30年にもわたって変化することがネックになると述べた。

同氏は「まともな規制を導入するのであれば、この問題をどう考えているのかについて、さらに情報を共有する必要がある。ストレステストについては、実に早まったことをした」と述べた。

<評判リスク>

同氏は、中銀が巨額のポートフォリオを低排出産業などグリーン資産に傾けることにも、懐疑的な見方を表明。そうした投資を行う専門知識が内部にあるのか、またそうした負託があるのか疑問だと述べた。

同氏は、こうした作業は民間銀行に任せるのが一番良いと主張。中銀は、民間銀行が適切に資金を調達できる環境を整え、民間セクターなどと協力して、気候リスクに対するエクスポージャーの理解を深めることに注力すべきだとの見解を示した。

政府が温暖化ガスの排出拡大に対応できていないとの不満が社会に広がれば、中銀に気候変動対策を求める声が強まる可能性もあるが、中銀が自らの使命を逸脱して、公選者の領域に足を踏み入れるのにはリスクがあり、中銀の評判を落とす恐れがあるとの見方を示した。

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