- 2021/10/20 掲載
生損保が今年度最大の買い越し、海外勢は減速=9月国債売買高
生損保の9月の超長期債買い越し額は今年2月の8458億円以来の高水準。今年度は7月まで20年度の平均買い越し額6344億円を下回るペースが続いていたが、8月(6621億円)以降、ペースアップしてきている。
市場では「超長期債の金利水準が上昇したことで、今年度やや低かった買い越しペースを上げてきているのではないか」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア債券ストラテジスト、稲留克俊氏)との見方が出ている。
買い越し額トップは都銀。トータルで2兆1739億円と、18年8月の2兆2834億円以来の高水準となった。超長期債を1000億円売り越したが、長期債を8686億円、中期債を1兆4053億円買い越した。
信託銀行はトータルで4374億円の買い越し。中期債を1272億円売り越したが、超長期債を2684億円、長期債を2962億円、買い越した。国内年金のリバランスとみられる動きで、7月まで高水準の買い越しが続いていたが、8月(2450億円)、9月とペースダウンしている。
地方金融機関(地銀、第2地銀、信用金庫)はトータルで9696億円の買い越し。今年2月の1兆3504億円以来の高水準となった。超長期債を5367億円、長期債を4329億円買い越した。
一方、外国人投資家はトータルで3338億円の買い越しと急減速。4─8月まで1.8─4.0兆円の大幅買い越しが続いていた。超長期債を4795億円、中期債を5347億円買い越したが、長期債を6804億円売り越した。「国債増発懸念や金利上昇懸念、海外債へのシフトなどの要因が考えられる」(稲留氏)という。
9月の円債市場は金利が上昇した。8月末に0.020%だった新発10年債利回り
(長期金利)は一時0.070%に上昇。世界的な物価高止まりへの懸念が広がったほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ予想時期が前倒しされたことで、米金利が上昇。日本でも自民党総裁選期間中に財政拡張懸念が強まった。
◎国債投資家別売買高(国庫短期証券を除く。億円)は以下の通り。
利付国債買越額 超長期債買越額 長期債買越額 中期債買越額
都市銀行 21739 ▲ 1000 8686 14053
地方銀行 5279 2617 2662 0
信託銀行 4374 2684 2962 ▲ 1272
農林系金融機関 ▲ 1985 ▲ 2089 89 15
第二地銀協加盟行 676 78 598 0
信用金庫 3741 2672 1069 0
その他金融機関 3112 1463 1549 100
生保・損保 8060 7774 139 147
投資信託 1584 ▲ 132 818 898
官公庁共済組合 119 118 1 0
事業法人 228 228 0 0
その他法人 480 323 157 0
外国人 3338 4795 ▲ 6804 5347
個人 ▲ 15 0 ▲ 14 ▲ 1
その他 ▲ 39830 ▲ 21398 ▲ 7343 ▲ 11089
債券ディーラー ▲ 488 ▲ 836 ▲ 327 675
合 計 10412 ▲ 2703 4242 8873
PR
PR
PR