- 2021/10/28 掲載
システム障害時の対応強化=売買活発化も期待―東証
東京証券取引所による現物株の取引時間延長は、システム障害が発生した当日の売買再開を確実にするのが狙いだ。ただ、終了時刻を午後3時半に30分延長するだけでは限界があり、東証はシステム再起動の迅速化などにも取り組む。海外に比べて短い取引時間を延ばすことで、売買の活発化も期待する。
取引所の競争力強化を目指し、東証が時間拡大を検討した過去3回は、負担増を懸念する大手証券会社の反対などで断念した。今回の議論は昨年10月のシステム障害が契機となった。関係者によると、終日の売買停止という異例の事態を受け、金融庁が強く要請。数時間の延長案もあったが、市場関係者らの作業に大幅な変更が生じない「現実的な着地」(東証)となる30分延長で合意した。
短時間の延長だけに、市場ではシステム障害時の対応力に懐疑的な見方もある。これに対し、東証はシステム再起動の時間を約1時間半圧縮することで、合わせて2時間程度を新たに確保する考えだ。
30分延長による取引活性化について、東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は27日、「一定の効果が期待できる」と語った。ただ、延長しても取引時間は海外の主要取引所に比べ依然、短い。政府が掲げる国際金融都市構想の実現には、米国時間につながる「夜間取引が欠かせない」(金融庁幹部)との指摘もある。
また、取引時間の終了後に情報開示している多くの企業は、発表を午後3時半以降にずらす公算が大きい。取締役会の決定から公表までの時間が長くなり「インサイダーのリスクが増す」(シンクタンク)と懸念される。市場の活性化や企業の適正な開示に向け、さらなる対策の検討が求められそうだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者=6月16日、東京都中央区
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