- 2021/10/29 掲載
米GDP、第3四半期は2%増に大幅減速 約1年ぶりの低い伸び
感染拡大抑制に向けたロックダウン(都市封鎖)措置で打撃を受けた20年第2・四半期以来の低い伸びにとどまり、市場予想の2.7%増も下回った。第3・四半期は、政府の新型コロナ対策支援の縮小のほか、8月末にエネルギー業界を中心に多大な被害をもたらしたハリケーン「アイダ」の影響も重しになった。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアテリ氏は「米経済は障害にぶつかったが、成長は今四半期に加速する見通しだ」と指摘。FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏も「第3・四半期の減速は歓迎せざるサプライズだったが、自動車業界が直面する供給面の制約が一部要因だったため、米経済が頓挫することはない」と述べた。
在庫変動は777億ドル減と、前四半期の1685億ドル減からマイナス幅が縮小。供給の制約に伴う在庫の切り崩しペースが幾分減速している兆候を示し、GDP伸び率押し上げに2.07%ポイント寄与した。しかし、自動車の不足などを背景に、在庫は引き続き弱い伸びにとどまっている。
在庫を除く最終需要は0.1%減だった。
米経済活動の3分の2以上を占める個人消費は1.6%増にとどまり、前四半期の12%から減速した。
耐久消費財への支出は26.2%減少。自動車がGDPの伸びを2.39%ポイント下押しした。
また、感染力の強いデルタ変異株の流行が旅行や外食などのへの支出の伸びを抑制。サービスへの支出は7.9%増と、前期の11.5%増から減速した。
FRBが物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)価格指数の伸びは4.5%増加した。前四半期は6.1%増加していた。
成長率は低い伸びにとどまったものの、米連邦準備理事会(FRB)が11月に量的緩和の縮小(テーパリング)を開始する計画に変更はないもよう。
低成長と高インフレの組み合わせで経済はスタグフレーションに陥る恐れがあるが、22年を通して回復が予想されているため、多くのエコノミストは差し迫った懸念はないと指摘。オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米国担当チーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「インフレで明らかに拡張が抑制されているが、経済は停滞していない」と述べた。
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