- 2021/11/09 掲載
インフレは来年収束、成長維持し債務減らす必要=ユーロ圏財務相会合
ユーロ圏の10月のインフレ率は4.1%と、9月の3.4%から急上昇した。
財務相らは、この上昇が賃金の伸びを促し、インフレのスパイラルを起こすことを懸念し始めている。
ユーロ圏財務相会合のドナフー議長(アイルランド財務相)は記者会見で「物価上昇は主に一時的要因によるものだが、今回の上昇は回復の力強さのために想定以上に持続している」と発言。その上で、「われわれはこの上昇は2022年から23年にかけて弱まっていくと引き続き予想する」と語り、欧州中央銀行(ECB)と同じ見解を示した。
10月のインフレ高進は、急速な景気回復による需要急増でエネルギー価格が前年比23.5%上昇したことが主な要因だが、財務相会合では累積需要で生じたサプライチェーンのボトルネックも指摘された。
8日の会合では、欧州連合(EU)の財政ルールの改正に関する協議も始まった。現行の財政ルールは、加盟国に財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下に、公的債務を対GDP比60%以下に抑えるよう義務付けているが、各国がコロナ禍で積み上がった高水準の公的債務や気候変動対策で必要な大規模投資に対応するため、ルール改正が検討されている。
現行ルールでは、大半の加盟国にとって年間の公的債務削減目標の達成が厳しく、各国の投資への明確な支援はない。
欧州委員会のジェンティローニ委員(経済担当)は会見で、「われわれが高水準の債務を抱えており、経済成長を妨げないようにこれを減らさなければならないとの認識で一致している」と語った。同時に、「それは容易ではなく、現時点で削減方法での合意はない」とした。
各国政府は必要なルール改正の範囲を巡り、意見が分かれている。南欧の加盟国は北部の加盟国よりも、債務削減ルールの緩和と債務の算定から投資を免除することなどを強く求めている。
ジェンティローニ氏は、来年第1・四半期に改正案を協議するための合意形成に向けて多くの課題があると語った。
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