- 2021/11/09 掲載
アングル:中国の銀行、住宅ローン実行加速の動き
債務バブルを招いているとの批判を避けようと、一部の銀行は今年に入って住宅ローンの実行を抑制してきた。政府は融資に依存する不動産開発業者が新規借り入れをするのも規制。中国人民銀行(中央銀行)も1月、銀行による不動産向けローンを制限していた。
しかし人民銀行は先月、一部の銀行が政府の不動産セクター債務管理政策を「誤解」していると批判した。さらに北京の銀行筋によると、住宅ローンの上限を守った銀行には最近、追加で住宅購入者に貸し出しができる枠が割り当てられた。当局は、最近結婚したり、安い住宅に住みたいと考えたりしているといった「実需」で住宅を購入ないし借りる個人に対しては支援すべきとの姿勢を示している。
当局としては銀行によるローンの実行が滞り、中国経済を左右する不動産市場の状態が悪化する事態も避けたいと考えている。
上海の銀行筋は、自身の勤める支店が第3・四半期に住宅ローンの実行を加速したことを明らかにした。別の上海の銀行筋は「当行の住宅ローンは、枠は拡大されていないが、実行を早めている」と語った。さらに上海の不動産仲介業者は「住宅ローンを得られるまでの待機期間が、以前の6カ月間から3、4カ月間に縮まっている」と述べた。
住宅ローンを提供する資金を使い切った銀行が、新たな資金調達ルートを開拓している様子もある。住宅ローン担保証券の発行が拡大しているという。
4日の国営メディアCailiansheによると、10月の銀行の不動産ローン実行額は前月比で1500億─2000億元(310億ドル)増えた。
ただ、8日に公表された民間調査結果によると、10月の住宅需要は主要都市では抑制されたままで、新築住宅価格もほとんど上昇していない。
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