• 2022/01/06 掲載

アングル:金利上昇で日本株急落、トヨタとソニーGで明暗

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平田紀之

[東京 6日 ロイター] - 日経平均は6日、800円を超す大幅な下げとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨をきっかけに金利が上昇。新型コロナウイルス感染拡大によるリスク回避ムードが強まる中で、株価収益率(PER)が高い銘柄への評価が厳しくなり、トヨタ自動車とソニーグループで明暗が分かれる展開となった。

<正月ムードが一変>

トヨタ、ソニーの両銘柄とも前日5日は大きく株価が上昇していた。トヨタは2021年の米国の自動車販売台数がゼネラル・モーターズ(GM)を超えて首位になり、ソニーは電気自動車(EV)の新会社を今春設立と材料が出たことで、日本株のスタートダッシュをけん引するとの期待も出ていた。

ところが1日でムードは一変。6日の市場でトヨタは、終値こそ小幅安になったが、場中はプラスで推移する時間が長かった一方、ソニーは6%を超えて下落し、前日のプラス幅を超える下げとなった。5日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月14─15日開催分)が予想よりタカ派的と受け止められ、金利が世界的に上昇。株価のバリュエーションを見直さざるを得ない状況になってきたためだ。

両銘柄とも日本を代表するグローバル企業であり業績もともに好調だが、今回の材料の評価と、株価のバリュエーション面ではやや違いがある。

トヨタの材料は販売実績であり、2022年3月期の業績に対し確実に貢献する材料だ。一方、ソニーのEV新会社はこれからの材料であり、業績への貢献度は不透明要素も多い。その半面、ソニーのPERは24倍とトヨタの12倍に対し、株価は高い位置にある。

PERは一株利益に対してどれだけ株価が高いかを示す。つまり高PER銘柄ほど投資に対するリターン(益回り)は低い。金利上昇局面では、債券などと比較して、高PER銘柄ほど、その利回りの魅力が落ちる。金利上昇局面でグロース株よりバリュー株が選考される理由だ。

金利上昇が警戒され全面安商状となる中、資金は「逃避先としてトヨタに集まったようだ」と、水戸証券の酒井一チーフファンドマネージャーは指摘する。

<寄与度高い高PER銘柄>

割安感がつきまとう日本株はバリュー株の典型といわれる。本来なら金利上昇局面では選好されてもいいはずだが、依然としてさえない動きが続いている。日経平均など指数への寄与度が大きい銘柄に高PERの銘柄が少なくないことが、その理由の1つとみられている。

ファーストリテイリングのPERは36倍。同社は成長株と目されてきたが、昨年12月のユニクロ国内既存店売上高が前年比11.1%減少し5カ月連続減になったと5日に発表。6日で10日連続の下落となり、市場では「成長性にも疑問符がつきまとう」(別の国内証券)との声も出始めてきた。

同じく指数寄与度の大きいエムスリーもPERは48倍。ウィズコロナ関連として期待を集めたが、下げがきつくなってきた。

新興株市場では、マザーズ総合が連日の大幅安。グロース株から資金を引き上げる動きが広がっている。

米金融政策の先行きを巡る不確実性が高まる中では、業績や材料、バリュエーションなどに対する銘柄の「クオリティ」が重視されると、いちよしアセットマネジメントの秋野充成上席執行役員は指摘する。これまで金融緩和で溢れたマネーがグロース株に流れてきたが、米金利の先高観を背景に、バリュエーションの調整が進むとの警戒感が強まってきている。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

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