- 2022/01/07 掲載
経済界、対応に苦慮=人権問題で口重く―北京五輪
開幕まで1カ月を切った北京冬季五輪への対応に、経済界が苦慮している。中国・新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由に米国や英国などが「外交ボイコット」を表明、企業の人権問題への取り組みにも厳しい目が向けられ、積極的なアピールにはリスクを伴うためだ。経済効果も限定的とみられ、企業関係者の口は一様に重い。
隣国で開催される北京五輪。本来なら、時差を気にせず企業も盛り上がりを期待できるが、世界的な新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染急拡大で観客は中国本土居住者に限定された。また、東京五輪から半年と期間が短いため、「大会を盛り上げるための社内準備に気持ちが追い付かない」(企業関係者)状況。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「(日本からの)観戦ツアーが望めず、テレビの買い替えも限定的」と指摘する。
実際には、選手の活躍次第でメダル獲得種目の関連商品やスキー場が恩恵を受ける可能性もあるが、ある企業関係者は米中間の対立が懸念され「とてもやりにくい」と打ち明ける。
さらに、外交ボイコットで焦点となった人権への対処が重くのしかかる。十倉雅和経団連会長は「今や国際的な事業活動を行う上で欠かせず、厳しい認識を持つべきだ」と指摘。企業は製品のサプライチェーン(供給網)全体で、強制労働や児童労働の人権侵害がないか、投資家や消費者に説明を求められている。
巨大市場の中国には、多くの日系企業が生産拠点を置く。それでも、「人権問題について、問題が見つかれば取引を見直すことも必要になる」(経済同友会の桜田謙悟代表幹事)と、警戒感も高まっている。
【時事通信社】 〔写真説明〕北京冬季五輪・パラリンピックのエンブレム(AFP時事)
PR
PR
PR