- 2022/01/12 掲載
世銀、G20による貧困国債務救済の迅速化求める
世界銀行は最新の「世界経済見通し」の報告書で、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による景気後退により、低所得国の半数が債務不履行に陥っているか、その危険性が高いと指摘した。
報告書は、新興市場と発展途上国の債務レベルは過去30年間で最も速いペースで上昇していると指摘。低所得国の成長率は22年に4.9%、23年に5.9%へ拡大すると予測されるものの、1人当たりの所得は今年、半数の国で新型コロナのパンデミック前の水準未満のままと予測される。
報告書は「成長が抑えられたままであれば、さらなる債務救済が必要となる可能性が高く、国際社会は公平かつ効率的な方法で提供する準備を整える必要がある」と結論づけた。
20年11月に発足したG20の共通枠組みでは、主に債務返済猶予イニシアティブ(DSSI)に基づく返済猶予対象国に対して期限の延長や金利の引き下げによる債務救済を目指している。しかし進捗は鈍い。
報告書は「枠組みが効果的であるためには、より迅速な債務救済をする必要がある。枠組みの下で最初の国が21年1月に適用申請したが、その処理はまだ完了していない」と言及。
明確なスケジュールと透明性のあるルールでの実施を正式化すれば、処理を迅速に進めることができる。一方、世銀は債務国が財政構造を強化し、債務の透明性を高める政策を実施する必要があると指摘した。
高水準かつ増加している債務は、市場や機関が金融ストレスに対してますます脆弱になっていることを意味している。特に財政状態が弱く、公的債務が多い国では効果的な対応の余地が一段と少ない。
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