- 2022/01/12 掲載
アングル:米株反発に乗るべきか、バリュエーションやテクニカル水準に注目
ハイテク株の多いナスダック総合指数は11日に1.4%高。前日は一時、11月19日に付けた終値ベースの最高値から10%以上下落していた。
指標となる米10年国債利回りは、連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢強化見通しから今月に入って20ベーシスポイント上昇し、2020年1月以来の高水準付近。グロース(成長)株やテック株は、将来のキャッシュフローの価値が損なわれる恐れがあるため、利回り上昇に特に敏感になりがちだ。
チャールズ・シュワブのチーフ投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダース氏は、FRBが利上げに備える中、株式市場は「劇的なリーダー役のシフトとボラティリティー」局面に入りつつあると語る。
過去のバリュエーションを見ると、ハイテク株やグロース株は一段と下振れる可能性を示している。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州担当最高投資責任者(CIO)、Solita Marcelli氏は最近のリポートで、グロース株のPER(株価収益率)は、いわゆるバリュー(割安)株よりも15ポイント高く、長期平均よりも6ポイント高いと指摘している。
ラッセル1000グロース・インデックスは年初来で3.8%の下落となっており、銀行やエネルギー企業など、比較的割安で景気敏感株の動向を測るラッセル100バリューは1.4%の上昇となっている。
UBSは市場全体については上昇すると予想。S&P500種の年末目標は5100と、11日終値を約8.2%上回る。
それほど強気ではない見方もある。BofAグローバル・リサーチのアナリストは、1月の最初の5日間でS&P500種が2%近く下落したことは、今年のパフォーマンスにとって悪い兆候だと指摘している。
S&P500種は、年初の5営業日が上昇した場合、そうした年の75%近くは上昇し、平均リターンは約11%となる。
しかしBofAのリポートによると、最初の5営業日が下落した年に上昇する確率はわずか52%で、平均リターンは1.77%。ハイテク系銘柄の比重が大きいS&P500種は、2021年に27%近く上昇したが、今年はこれまでのところ1.1%の下落となっている。
一方、カンター・フィッツジェラルドのアナリストは、よりタカ派的なFRBに直面して「大幅な売りが来る」と警告。2月末までに10%以上の下落を予測する。
最近のノートで、世界的な債券利回りの急上昇が株式の魅力を低下させていることや、個人投資家のマージン・デット(証拠金債務)が過去2年間で80%増加していることなどが憂慮すべき兆候だとした。
同社の株式デリバティブ・クロスアセット担当責任者、エリック・ジョンストン氏は「株式のエクスポージャーは歴史的な高水準にあり、株安はダウンサイドにオーバーシュートすることを意味する」と指摘した。
ビスポーク・インベストメント・グループのアナリストは、テクニカル水準に注目。彼らは、ナスダック100に連動するETF(上場投資信託)のQQQが7日に「極端な売られすぎ」の領域で引けたことに言及し、同指数が短期的な底を打つ兆候だとしている。1999年以来、ナスダック100は「極端な売られすぎ」となった後の6カ月で4.9%上昇している。
Leuthold Groupのジム・ポールセンCIOは、今後2・四半期に予想される好調な業績が市場の売りを短期間で終わらせる可能性が高いと見る。「調整が今行われようと、年内に行われようと、おそらく企業の堅調なファンダメンタルズによって修復されるだろう」と語った。
(David Randall記者、Additional reporting by IraIosebashvili)
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