- 2022/01/13 掲載
FRB高官、3月利上げ派に勢い 資産圧縮加速求める声も
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は12日、PBSニュースアワーのインタビューで「今はまさに、経済にこれまで提供してきた緩和策を一部解除する時だ」と強調。「利上げが迫っている。早ければ3月だろう」と語った。
デイリー氏は昨年11月時点ではまだ、物価上昇にもかかわらず辛抱強い政策対応を呼び掛けていたが、今回の発言で、FRBの当局者らが新型コロナウイルス禍に対応したゼロ金利政策の解除に準備を整えていることが明確になった。
FRBは12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、量的緩和縮小(テーパリング)を加速することを決め、来年3月の購入終了を見込むとともに、2022年中に計3回の利上げを行う見通しを示した。
ただ、足元のインフレ加速に加え、新型コロナの感染急拡大で供給網の寸断が深刻化してインフレが悪化する可能性が高まっており、当局者は早期行動に傾いている。
12日発表された12月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比7.0%上昇と、11月の6.8%上昇から加速し、1982年6月以来39年6カ月ぶりの高い伸びを記録した。
<資産圧縮も迅速に>
アトランタ地区連銀のボスティック総裁はロイターのインタビューで、FRBは今年、少なくとも3回の利上げを行う必要があり、初回の利上げは3月にも実施される可能性があるとの見方を示した。また、資産圧縮も迅速に進める必要があるとの見解を示した。
セントルイス地区連銀のブラード総裁は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに対し、今年は3月を起点に4回の利上げが実施される可能性があると述べ、自身の利上げペースの予想を3回から修正した。
クリーブランド地区連銀のメスター総裁もまた、12日にWSJに対し、3月の利上げ開始を支持する考えを示し、「金融市場を混乱させないという条件で可能な限り早期の(バランスシートの)縮小を望む」と発言した。
地区連銀総裁の見解は時にワシントンにあるFRB本部の幹部と一致しないことがあるが、今回はそうでないようだ。
パウエル議長は11日の議長再任指名に関する議会公聴会で、米経済はFRBによる大規模な緩和策を「もはや必要としていない」と指摘、利上げとバランスシート縮小を近く開始する構えを見せた。
ブレイナード理事もまた、13日に行われる副議長昇格を検討する上院公聴会での証言原稿で、皆が恩恵を受ける景気回復を持続しつつ、インフレ率を2%に引き下げることがFRBの「最も重要な責務」との認識を示した。
米国の失業率は3.9%と低く、消費は強いため、当局者らは景気回復や金融市場の安定に水を差すことなくインフレを抑え込めると期待している。
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