- 2022/01/31 掲載
鉱工業生産、12月は3カ月ぶり減 感染拡大で挽回後ずれ懸念も
[東京 31日 ロイター] - 経済産業省が31日発表した12月鉱工業生産指数速報は、前月比で3カ月ぶりにマイナスとなった。年明け以降は新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の感染拡大で自動車メーカーの工場停止が相次ぎ、挽回生産が後ずれしそうだ。
10―12月期でみると、新型コロナによる供給制約が和らいだことなどを背景に前期比1.0%増加し、7-9月期マイナス3.7%から2四半期ぶりのプラスに転じた。2021年は前年比で5.8%増加し、現行の2015年基準で最も高い伸び率だった。
12月鉱工業生産指数速報は、前月比1.0%低下し96.5となった。ロイターの事前予測調査では同0.8%低下となっており、下落幅はこれより大きかった。
前月に大幅に上昇した後で反動減がでたもよう。また、自動車工業は全体としては増加したが、軽乗用車や普通乗用車などの生産は前月比マイナスだった。
前月比で低下に寄与した業種は、水管ボイラーなどの汎用・業務用機械工業や半導体製造装置などの生産用機械工業だった。
生産予測指数は1月が前月比5.2%上昇、2月が同2.2%上昇。予測指数は上振れする傾向があるため、補正した試算では1月は前月比0.6%上昇となっている。経済産業省は生産の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
<1―3月は弱めの数字に>
経産省によると、今回示された1月、2月の予測は1月上旬までの調査で、それ以降の自動車メーカーの工場停止は織り込まれていないという。
オミクロン株の感染拡大で自動車メーカーの部品調達にも影響が出ており、「当初思っていたよりも1-3月期の生産は弱めの数字になりそうだ」と、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田隼平・副主任研究員は指摘する。
「挽回生産が後ずれして、一時的に弱含むイメージ」だとし、現時点では、10―12月期の生産と比べると、1―3月期は横ばいか微増程度で予測しているという。
トヨタ自動車は先週、一部の国内完成車工場での1月の稼働停止日を3日間追加すると発表した。1月の生産への影響台数は約9万3000台に膨らむ。 他にも、SUBARU(スバル) やスズキなども、年明け以降、一部工場の一時停止を相次いで発表している。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・上席主任エコノミストは、1月以降の予測指数はオミクロン株の影響を反映しきれていないので下振れリスクが高いと指摘。「2月後半から挽回稼働が起こるとみている。ただ、半導体不足が続くことは変わらないので、感染拡大の影響が一時的にとどまり生産活動が戻ったとしても、急激な挽回生産は期待しにくい」とした。
*経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html
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