- 2022/03/05 掲載
NY外為市場=ウクライナ懸念でユーロ安、ドルに安全買い
ウクライナ当局は4日、ロシア軍が南東部にある欧州最大級のザポロジエ原子力発電所を占拠したと表明。これを受け国連安全保障理事会が開いた緊急会合で安保理15カ国の多くが攻撃を厳しく非難した。
この日は主要7カ国(G7)も外相会合を開き、ウクライナの民間人に対する「ロシアの継続的な攻撃」を「深く懸念」し、戦争犯罪の責任を追及すると表明。共同声明で「無差別攻撃は国際法で禁止されていると改めて強調する。民間人に対する無差別攻撃を含む戦争犯罪について、責任を追及する」とした。
ユーロは1.10ドルを下回り、2020年5月以来の安値を更新。終盤の取引で1.3%安の1.0923ドル。一日の下落率としては20年3月以来最大となった。
ユーロは対スイスフランで7年ぶり安値を更新。1.2%安の1.0025フランと、パリティ(等価)に近づいた。
対英ポンドでも下落し、16年6月以来の安値を更新。市場では、エネルギー価格の高騰で欧州の経済成長見通しが阻害されるとの懸念が出ている。
こうした中、ドルを含む安全通貨に資金が流入。主要6通貨に対するドル指数は一時上昇を縮小したが、好調な米雇用統計を受け、再び上げ足を速めた。週初からは2%上昇。週間の上昇率としては20年4月以来最大となった。
終盤の取引でドル指数は0.9%高の98.565。20年5月以来の高値を付けた。
ただドルは対円で0.5%下落した。
資源国通貨は上昇が続き、豪ドルは対米ドルで0.6%高、ニュージーランドドルは0.9%高。
クラリティFX(サンフランシスコ)のディレクター、アモ・サホタ氏は、ウクライナの原発攻撃を受け安全資産への資金の逃避が急増したと指摘。こうした流れの中でドルが買われ、 ユーロが売り込まれたとしている。
労働省が朝方発表した2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比67万8000人増と、市場予想の40万人増を大幅に上回った。失業率は3.8%と、2020年2月以来の水準に改善。米経済は地政学的な緊張の高まりのほか、物価上昇や金融引き締めなどの逆風に耐えられるとの楽観的な見方が強まった。
連邦準備理事会(FRB)が15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定するとの見通しもドルの支援要因になっている。
モスクワ市場のルーブルは対ドル、対ユーロともに週間で20%下落してこの日の取引を終えた。
ドル/円 NY終値 114.78/114.81
始値 115.36
高値 115.46
安値 114.66
ユーロ/ドル NY終値 1.0926/1.0928
始値 1.0975
高値 1.0981
安値 1.0888
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