• 2022/03/22 掲載

米国債で強まるリセッション警戒感、FRBの「軟着陸」シナリオに疑念

ロイター

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[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米国債市場で、景気後退(リセッション)の接近に対する警戒感が強まり始めた。複数の専門家によると、連邦準備理事会(FRB)がインフレを抑えるための利上げを通じて経済をうまく「軟着陸」させる計画に対し、疑問が出てきたためだ。利回りを引き上げてインフレを警告する「債券自警団」が復活したとの声も聞かれる。

FRBのパウエル議長は21日、全米企業エコノミスト協会(NABE)の会合で、行き過ぎた物価高の抑制に「速やかに」動くべきで、必要なら通常より大幅の利上げを駆使する可能性があると発言。米国債利回りは跳ね上がり、イールドカーブはフラット化傾向が進んだ。

BofAのストラテジストチームは「市場は、FRBが今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で主張したような米経済が軟着陸するとの見解に異を唱えているように思われる」と指摘。米国債のイールドカーブには「リセッションのリスク」が反映されており、それは単にFRBの利上げサイクルの始まりに見られがちな極端なフラット化という現象だけではないはずだとの見方を示した。

イールドカーブ上で注目度の高い10年と2年の国債利回りのスプレッドは、年初から約60ベーシスポイント(bp)縮小し、足元ではプラス20bp余りで推移。これがマイナス、つまり2年国債利回りが10年国債より高くなる逆イールドに転じれば、一般的にはリセッションが半年から2年先に到来するとされる。

サスケハナ・ファイナンシャル・グループのデリバティブ戦略共同責任者クリストファー・マーフィー氏は、逆イールドが常にリセッションにつながるわけではないと断りつつも「このイールドカーブは不吉に見える」と記した。

コンティゴの応用研究グローバル責任者メリッサ・ブラウン氏によると、FRBが経済をリセッションに突入させず、インフレを和らげられるような利上げができるかどうかについて、市場の考えが変わったことがイールドカーブから読み取れる。「市場は恐らく、FRBがこの難しい仕事を達成できないと想定している。リセッション回避の道は険しくなるだろう」という。

パウエル議長は21日、向こう1年でリセッションが起きる確率が高まったとの見方を否定し、イールドカーブが発するメッセージを懸念しているかと聞かれると、自身は短期ゾーン(残存18カ月まで)の動きを重視すると回答した。

モルガン・スタンレーは20日付調査ノートで、逆イールドが第2・四半期中に発生する可能性があると予想。それが必ずしもリセッションの予兆になるわけではないとしながらも「企業の増益率が急減速するというわれわれの見解を裏付ける」と指摘した。

一方、オリオン・アドバイザー・ソリューションズのティム・ホランド最高投資アドバイザーは、フラット化が進んでいるからといってリセッションが差し迫っているわけではないと反論する。

イールドカーブ上でもう1つ重視されているのは3カ月短期国債と10年国債の利回りスプレッドで、これは昨年末の145bpから21日に181.54bpまで開いている。ホランド氏は「過去30年の経緯が参考になるとすれば、3カ月─10年と2─10年の利回りスプレッドがどちらもフラット化から逆イールドになって初めて、リセッションの危険に直面することになる」と説明した。

21日のパウエル議長発言を受け、10年国債と2年国債の利回りは、前週末の2.153%と1.942%からそれぞれ2.298%と2.111%に上昇した。

ナショナル・アライアンス・セキュリティーズの国際債券責任者アンドルー・ブレナー氏は、こうした値動きについてインフレリスクの補償として高い利回りを求めるもので「債券自警団が登場した」と解説。特に5年国債先物に売りが集中したと付け加えた。

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