- 2022/03/27 掲載
米政策金利、年内2%超か=インフレ抑制へ「中立」以上―引き締め論に勢い・FRB
【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が今年、政策金利を2%超に引き上げるとの見方が強まってきた。「あまりに高すぎる」(パウエル議長)インフレの抑制に向け、積極的に金融を引き締めるべきだという主張がFRB内部で勢いづいているためだ。ロシアのウクライナ侵攻で先行き不安は根強いものの、インフレの悪影響の方が大きいという危機感が広がっている。
「政策金利を『中立』よりも引き締め、一段と抑制的にする必要があれば、それも実施する」。パウエル議長は21日の講演で、利上げをさらに加速させる可能性に言及した。
中立金利は、景気を刺激も抑制もしない水準の金利。FRB高官らが想定している現在の米国の中立金利は2.0~2.5%程度だ。
FRBは16日の金融政策会合で、コロナ禍で導入した事実上のゼロ金利政策を解除。約3年ぶりの利上げを決めたほか、年内に計1.75%の利上げを行う想定も示された。
しかし、インフレ率が40年ぶりの高さとなる中、FRB高官らは会合後、「政策金利を早期に中立水準にする必要がある」と発言。発表された見通しよりも、年内の利上げペースが速まるとの観測がにわかに高まっている。
政策金利を年末までに中立以上の水準に引き上げる道筋として、0.5%の大幅利上げを数回行うシナリオも視野に入る。FRBの金融政策決定で投票権を持つセントルイス連銀のブラード総裁は22日、テレビインタビューで「0.5%の利上げを織り交ぜれば、政策金利は中立水準になる。若干引き締め的にするため、年内に金利を3%にしたい」と強調した。
こうした発言を受け、金融市場ではFRBが年末までに政策金利を年2.25~2.5%に引き上げる可能性の織り込みが進んでいる。
ただ、急激な利上げを行えば、コロナ禍から回復を遂げる景気の腰を折りかねない。ウクライナ危機に伴う原油相場の高騰も、経済成長を減速させる恐れがある。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は24日、FRBが引き締めを「やり過ぎる危険がある。(インフレ抑制の)薬をすべて投与する必要はないかもしれない」と指摘。利上げは経済指標を踏まえて慎重に進めるべきだと訴えた。
【時事通信社】 〔写真説明〕パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長=3日、ワシントン(EPA時事)
PR
PR
PR