- 2022/03/27 掲載
金利急上昇で外債含み損=損失処理が課題―地銀
米国をはじめとする海外市場での金利の急上昇(債券価格は下落)の影響で、地方銀行など地域金融機関は保有する外債の含み損が膨らんでいる。日銀のマイナス金利政策などによる国内の低金利環境に対応しようと、地銀は日本国債に代わる運用先として外債投資を増やしてきたが、最近の欧米各国での金融引き締めによる金利上昇が逆風となった。
早期に金利上昇による損失を処理し、ポートフォリオ(資産構成)の見直しなどの機動的な運用をできるかどうかが今後の各行の収益を左右する。より利回りのよい債券に買い替えられれば、中長期的には金利上昇が収益にプラスになる。
日銀によると、地銀と信用金庫の外債運用額は2021年9月末に19.5兆円と、ピークだった16年末と同水準まで高まっている。
山口フィナンシャルグループは今年2月末、含み損を抱えた外債などを圧縮するため、22年3月期連結業績予想の純損益を、260億円の黒字から135億円の赤字に下方修正すると発表。横浜銀行も外債については「前年の秋ごろから損失計上を進めている」と明かす。財務基盤が強固な地銀は保有する債券の価格下落を見据えて迅速な処理に動いている面がある。
一方、規模の小さい金融機関については、「急激な市場環境の変化で悪影響を受けたところも多いだろう」(地域金融機関幹部)と財務基盤悪化への懸念が付きまとう。
全国地方銀行協会の柴田久会長(静岡銀行頭取)は3月16日の定例記者会見で、「(債券価格下落などの)リスクをどう回避するかは各行の経営判断になる」と話した。地域金融に詳しい専門家は、「市場環境に合わせて(運用する)資産の構成を入れ替えていくべきだ」と指摘している。
【時事通信社】
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