- 2022/04/01 掲載
円安継続望ましくないが、金融政策は為替のためではない=古沢元財務官
古沢氏は足元の円安傾向について「日米欧の中央銀行の金融政策のスタンスの違いによる金利差、貿易収支の11カ月連続赤字、エネルギー価格の上昇、といったファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映している」と指摘した。
一方で「通貨がどんどん安くなるのは良いことではない」とも述べ、中期的な円安継続には懸念を示した。「実質実効レートで1995年の春から夏にかけてが円のピークで、今はのその半分くらい。為替相場は国の実力、競争力、成長力を反映している」と指摘。「日本の成長力、競争力が向上して、実質実効レートで円安が続かないことを期待している」と述べた。
また「為替の安定は経済の安定に資するのがコンセンサスで、大きな変動は好ましくない」と述べ、1日で3円も円安が進み6年7カ月ぶりにドル円が125円台を付けた3月28日の動きは「大きかった。だから神田真人財務官も口先介入したのだろう」と解説した。
日銀の金融政策について「物価の状況からみて金融政策を変更することにはならない」と指摘、「少なくともこれから物価に大きな変化がおこらない限りは、金融政策の変更はないのではないか」との見方を示した。市場では円安是正のために日銀が長期金利を上下0.25%の範囲に抑える現行の金融政策を修正する可能性も指摘されているが、「金融政策は為替のため(の手段)ではない」と述べた。
円高誘導のための為替介入については「やる以上は成功する必要がある。一般的には単独介入よりも協調介入の方が効果ある。そのため実際介入する場合には当局がいろいろ検討する必要がある」と述べ、単独介入は「少額ならば市場に資金が吸収されるだけ。かえって投機的な動きを助長する」と懸念を示した。
インタビューは3月31日に行われた。
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