• 2022/04/01 掲載

アングル:米株と債券、成長見通しで対照的なシグナル

ロイター

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[ニューヨーク 31日 ロイター] - 第1・四半期終了時点で米株式市場と債券市場は成長見通しについて、全く異なる見方をしているようだが、どちらが正しいのだろうか。

S&P500総合指数は一時13%近く下落していた。だが金融引き締めやウクライナ紛争を巡る地政学的不安にもかかわらず、4.9%安まで回復した。将来のリセッション(景気後退)を示唆するとされる米国債の逆イールド(長短金利の逆転)も消化した。

一方、債券の投資家ははるかに悲観的だ。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な引き締めがリセッションにつながることへの警戒感からICE・BofA指数は今年、最悪のスタートとなりそうだ。10年債利回りは第1・四半期に81ベーシスポイント(bp)上昇し、2019年5月以来の高水準となった。

株式市場で投資家心理を図る指標となるVIX指数(恐怖指数)は今年の最低水準付近にとどまっている。これに対し債券市場の恐怖指数ICE・BofAML・MOVE指数は高止まりしている。

コロンビア・スレッドニーのシニア金利・為替アナリスト、エドワード・アル・フサイニー氏は「金利市場はFRBが経済にダメージを与えるという展開を一貫して予想している。(一方)リスク(資産)市場は成長見通しへのダメージをそれほど織り込んでいない」との見方を示し、「どちらかのシナリオが間違っている」と語った。

投資家の間で見解が分かれるのはイールドカーブ(利回り曲線)だ。今週初めに2年債の利回りが10年債利回りを一時的に上回った。

トリスト・アドバイザリー・サービシズによると、1978年以降の7回のリセッションのうち、6回で逆イールドが発生していた。しかし、FRBの大規模な新型コロナウイルス対策により市場にゆがみが生じているなどの理由で、今回は当てはまらないとの指摘もある。

トリストによれば、過去の逆イールド局面では平均16カ月遅れてリセッションに陥った。また、逆イールド発生後12カ月でS&P500は平均11%上昇した。CFRAのデータによると、90年以降の4回のリセッションでは、S&P500は平均8.8%下落した。

今回の株価上昇は「ある種の贈り物」と指摘するのはウェルズ・ファーゴ投資研究所のシニア・グローバル・マーケット・ストラテジスト、サミア・サマナ氏だ。「調整前に市場の投機的な分野へのエクスポージャーを減らすことができなかったのなら、今がその時だ」と語った。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ヘーフェル最高投資責任者(CIO)は、株式市場の高揚感や債券市場の悲観的な見方を過剰に解釈しないよう投資家に注意を促した。

同社は世界的な企業収益見通しを下方修正し、S&P500の年末の目標を4700とした。3月31日の終値は4530.41で、これまでよりも緩やかな上昇を予想している。

ヘネシー・ファンズのポートフォリオマネージャー、ゲイリー・クラウド氏は、市場がリセッションを織り込み始める前にFRBは利上げペースを調整できると予想。「FRBはリセッションを引き起こすほどの引き締めは望んでいない」と述べた。

しかし「FRBが利上げを始めたら、比較的近い将来にリセッションが起こる可能性が高い」(Tロウ・プライスのマルチ資産部門の資本市場ストラテジスト、ティム・マレー氏)との見方もある。同氏は「投資家はこの点をあまり警戒していないようだ」と話した。

(David Randall 記者)

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