- 2022/04/02 掲載
アングル:米個人投資家が投機買い、ミーム株や暗号資産押し上げ
株式市場ではここ数週間、最も投機的な銘柄の一部が上昇を続け、S&P500種総合指数を大幅にアウトパフォームした。
インターネット上の情報拡散を通じて取引されるミーム株の代表格、ゲーム販売のゲームストップと映画館チェーン大手AMCエンターテインメント・ホールディングスの2銘柄は、過去2週間で2倍近くに跳ね上がった。これに対し、株式市場全般は今年、金融引き締めへの懸念とウクライナでの戦争によって打撃を受けている。
両銘柄以外にも、グロース株で構成されるETF(上場投資信託)、「アーク・イノベーションETF」が2週間で約26%、暗号資産ビットコインが約19%、電気自動車(EV)メーカーのテスラが約36%、それぞれ上昇。対照的に、S&P500は1―3月期中に一時、昨年末比12.5%下落し、約5%安で期末を迎えた。
リスク資産の価格が反発したのは、期末のポジション入れ替えや、米連邦準備理事会(FRB)がようやくインフレ阻止に照準を合わせたことへの安心感も要因だが、個人投資家が重要な役割を果たしたのは間違いない。ゴールドマン・サックスは最近のノートで、家計資産の一部が引き続き株式市場に投入されるとの見通しを示した。
JPモルガンのストラテジスト、ペン・チェン氏は30日のノートで、過去1週間に個人投資家が株式とETFを計50億ドル買い越したことを紹介した。過去1年間の平均買い越し額は34億ドルだった。
個人投資家向けブローカー、トレードゼロのダン・ピピトン最高経営責任者(CEO)は「個人は投機的な取引がまだ儲かると見て、有望銘柄を狙い続けている」と語った。
AMCやゲームストップなど、個人投資家に人気のある銘柄はここ数週間、投資家の強気の現れであるコールオプションの買いが活発化している。
例えばAMC株のオプション建玉では、「コール」が「プット」の1.8倍と、2021年5月以来で最高に近い数字となった。ロイターがトレード・アラートのデータを分析した。
バンダ・リサーチは30日のリポートで、ここ数日最も買われている投機的銘柄の1つがAMCだと指摘。AMC株への大量の資金流入は過去に、知名度の低い他の銘柄が幅広く上昇する前触れになったと説明した。
「平均的な個人投資家のポートフォリオは(前年比の)損失を大部分取り戻し、改めてミーム株に賭ける余裕が戻ってきている」という。
もちろん、ミーム株などリスク資産の急上昇は諸刃の剣にもなり得る。特に、投機熱が頂点に達した時点で購入した投資家にとってはリスクが高い。ゲームストップとAMCの株は、終値ベースの昨年の最高値に比べればなお52%と59%、それぞれ下落している。同様に、ビットコインは30%、アークETFは56%、昨年の最高値を下回ったままだ。
しかし一部の個人投資家は今のところ、こうした投機的な資産の上昇継続に賭けるのをやめていない。
バンダのアナリストチームによると、個人投資家は年初に人気だった大型株の買いを減らし、投機的な銘柄にシフトしている。「より若く、積極的な投資家」が今、年初からの損失を取り戻すために「主に投機的なミーム株、コールオプション、暗号資産を買っている」という。
(Saqib Iqbal Ahmed記者)
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