- 2022/04/20 掲載
為替は安定が重要、物価高継続には危機感=木原官房副長官
外為市場では、3月初めに114円半ばだったドルが一時129円台まで上昇。約20年ぶりの円安水準となっている。鈴木俊一財務相は19日の参院財政金融委員会で「現状の経済状況を考えるとデメリットをもたらす面がある、強いと思っている」と答弁するなど、政府内でも「悪い円安」と捉える向きが出てきた。
木原副長官は「為替は安定が重要であり、急激な変動は望ましくない」と強調。その上で「私自身は為替に良いも悪いもないと思う」と述べた。賃金が上がらず、物価だけが上がり続けるのは悪い状況に違いないが、「そのことと(の関係で)、円安、円高、あるいは為替の水準が良い悪いという評価を私自身はしていない」と述べた。
市場では、円安進行の背景について日銀が強力な緩和を継続する一方、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ局面に入り、日米金融政策の方向性の違いが鮮明になっているためとの見方がある。
木原副長官は、円安の要因についても「政府が答えを出すことはない」と説明。最近の円安進行が望ましいか、望ましくないかについても言及を避けた。為替については「政策当局が日々適切に対応していくことに尽きる。我々自身その状況を注視しながら、経済に影響があるのかないのか、しっかり見ていく」と述べた。
日銀の大規模緩和の修正の可能性についての質問にはコメントを避け、「どのような手段でアコードを達成していくかは日銀の話だ」と述べた。
木原副長官は、基本的に現在の物価高が新型コロナウイルス感染症に端を発して引き起こされたものであり、ロシアによるウクライナ侵略の影響はこれから追加で出てくるとの見方を示した。「そこはかなり危機感を持っており、備えておく必要はある」と述べた。重ねて「日本政府としては、少なくとも原油高・物価高がそうすぐにはげ落ちるというのはやや楽観的すぎる」と述べ、経済対策に伴う将来の補正予算編成の可能性にも含みを持たせた。
岸田文雄首相が取りまとめを指示した原油高・物価高騰への緊急対策については、自民、公明両党がすり合わせを進めている。今週中に合意に至れば日程的にスムーズだが、必ず今週でなければならないわけでもないと指摘。与党の合意が来週前半にずれ込み、政府案決定が来週半ば以降になっても許容される範囲だとの認識を示した。
(杉山健太郎、梶本哲史)
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