- 2022/04/25 掲載
円債は残高増加、本格回帰には「金利水準まだ不十分」=22年度・第一生命運用計画
25日に開催した資産運用計画説明会で、堀川耕平運用企画部長が明らかにした。
第一生命では、経済価値ベースの資本充足率の安定性を高めるため、前年度に続き市場関連リスクの削減に取り組む。
このうち円債については、金利リスク削減を目的とした責任準備金対応債券の積み増しにより、残高を増やす計画。
ただ堀川氏は「日本の金利は多少上がったとはいえ、超長期金利が1%に届くか届かないかという水準で、まだ低い」と述べ、「円債代替」と位置付ける為替ヘッジ付きの外債から円債に本格回帰するとのニュアンスではないと強調した。
「具体的な金利水準は控えるが、我々が長期の保険負債を運用する観点からすると、金利水準はあと少しという程度でなく、もっとしっかり上がってこないと円債(メイン)で十分と言える水準にはまだまだ距離があるというのが本音だ」と話した。
外債については、ヘッジ付き・オープンともに「金利や為替の水準次第で残高を機動的にコントロールする」として増減の方向性は示していないが、今の相場水準を踏まえると現時点で大きく残高を増減させる計画ではない、と説明。
「今は海外金利の上昇と円安がかなりのピッチで進展しているが、そろそろいいところまできたとみている。短期的な相場であまりじたばたせずに中期的な取り組みを進める」という。
ヘッジ外債に関連し、足元で米ドルのヘッジコストが上昇して投資妙味が低下している状況を取り上げ、堀川氏は「ヘッジコストは地域格差が大きく、ユーロ圏であればまだ妙味がある」として、通貨間の入れ替えを図ったり、ヘッジコスト考慮後利回りによっては既に保有するヘッジ外債の一部を円債にシフトすることもあり得ると述べた。
ヘッジを外して為替リスクを取りに行くこと(オープン外債化)はメインシナリオではない、としている。
国内株式の残高は、経済価値ベースの資本充足率の安定化に向けた株式リスクの削減を目的に売却を行うため、減少する見込み。一方、外国株式の増減はリスク許容度や株価水準次第という。
このほかオルタナティブ資産は、前年度に続き、残高を積やす計画。ヘッジファンドではポートフォリオ全体のリスク分散につながる戦略に投資、プライベートエクイティは収益力向上を目指してバイアウトファンド・ベンチャーファンド、またリアルアセットへの投資を強化する。
不動産も、用途分散を目的とした新規投資や入れ替えにより、21年度に続いて残高は増加する見込み。
第一生命の一般勘定の資産残高は、12月末時点で38兆4448億円。うち外貨建て資産は10兆2568億円(26.7%)。
2022年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。▼はマイナス
日本国債10年物利回り ▼0.10―0.40%(年度末0.25%)
米国債10年物利回り 2.0―3.2%(年度末2.5%)
日経平均株価 2万2000―3万2000円(年度末2万6000円)
NYダウ 2万6000─3万6000ドル(年度末3万ドル)
ドル/円 110―135円 (年度末120円)
ユーロ/円 120―140円 (年度末133円)
(植竹知子)
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