- 2022/05/26 掲載
市場安定確保しての出口戦略「簡単でないのは認める」=黒田日銀総裁
江田氏は欧米中銀が金融緩和から利上げや資産売却など出口に踏み切るなかで、日銀が金融緩和を継続し、結果的に円安が進んできたのは、金利上昇により財政負担が拡大し、国債暴落などのリスクがあるためではないかと質問した。
これに対して黒田総裁は「簡単でないのは認める」と述べた上で「金融市場の安定を確保した出口戦略は、十分可能と思う」と述べた。
江田氏は円安による国民預貯金の海外流出の可能性について懸念を指摘した。これについて岸田首相は「金融政策の具体的手法は、出口も含め日銀に委ねる必要がある」としたうえで「預金などの資金が国内にとどまるよう、魅力的なマーケットであることが必要」と述べ、「インバウンド等で資産の流入を進める」など、為替・資金移動の安定に資する政策を「政府として責任をもって進める」と述べた。
<物価2%「来年も再来年も続くと思えない」─黒田総裁>
江田氏は足もとの円安や物価上昇は一時的なものかと質問した。黒田総裁は4月に日銀が公表した展望リポートの消費者物価指数(CPI)見通しによると、2022年度の1.9%に対して23年度は1.1%だと引用。「不確実性があるが、2%が来年も再来年も続くとは思えない」と答えた。
CPIは石油価格に左右されると指摘し、先物市場では「石油価格は緩やかに下がる」見通しだと話した。
岸田首相は、足もとの円安と物価上昇が「長引くか、短期で終わるか、今の段階で判断できない」と回答した。
<円安めぐる黒田・鈴木発言「矛盾ない」>
江田氏は円安の影響について、全体としてプラスと説明する黒田総裁と、「悪い円安」と発言した鈴木俊一財務相の発言に齟齬がないか質した。
岸田首相は両者とも円安のプラス面とマイナス面についてそれぞれ触れており「日銀総裁と財務相に矛盾はない」と解説した。同時に足もとの円安傾向について所見を求められ「一般論として急激な為替変動は望ましくない」と述べた。
(竹本能文)
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