- 2022/06/02 掲載
米経済に金融引き締め効果の初期の兆候=地区連銀報告
[1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は1日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、4月から5月終盤にかけて大部分の地域で経済は控えめ、もしくは緩やかなペースで拡大したとし、需要抑制に向けたFRBの対応策の効果が出ている兆候が見え始めているとの認識を示した。
地区連銀報告は「小売業は、消費者が物価上昇に直面したことで若干の軟化が見られたと報告した。住宅用不動産業は、物価高と金利上昇による弱さを報告した」とした。
報告書は、5月23日までに12地区連銀が全国の調査先企業から受けた報告に基づき作成された。
今回の調査では、企業の楽観的な考え方が弱まって景気後退への懸念が高まったことが明らかとなり、物価上昇圧力や労働市場の逼迫がいずれ大幅に緩和されると期待できない状況も明らかになった。
全体として、企業は労働力不足が引き続き最大の課題になっていると報告した。他の懸念材料としては供給網の混乱や全般的なインフレ、ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナウイルスによる混乱などが続いた。
今回の報告で、企業は既に警戒感を強めていることが示された。8地区の企業の間で今後の成長への期待が薄れた。一方、3地区は特に景気後退への懸念を報告した。
こうした懸念の一部は、景気の抑制に向けたFRBの行動に伴う副作用でもある。
消費者が消費を手控え始めた兆候として、半数を超える地区がコスト増に対する顧客の抵抗を挙げた。例えば、クリーブランド連銀の地区の大手食品販売店チェーンは顧客が支出を減らし始めていると指摘し、「全国的ブランドから、より安価なストアブランドに移行している。また牛乳を1ガロンではなく半ガロンで購入したりもしている」と報告した。
セントルイス連銀の地区によると、ミシシッピ州北部の高級車販売店は大型車の販売を減らし、燃費のよい小型車を多く販売するようになった。
ニューヨーク連銀の報告によると、ニューヨーク州北部の人材派遣会社が労働市場は依然としてかなり堅調ではあるものの「活況度合いが弱まってきた」と指摘した。
しかし、全体的に雇用市場は引き続き非常に引き締まり、大半の地区が賃金の大幅な伸びを報告した。ただ、賃金上昇率が横ばいか、低下傾向にあると報告した地区もあった。
ボストン連銀の地区では、製造業の大部分が「半導体やプラスチック、ガラス、エネルギー、物流、労働力などさまざまな投入価格の上昇に対応するために」平均を上回る値上げを行った。
最新ニュースのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR