• 2022/06/07 掲載

日銀、デフレ完全脱却を優先=物価「2%」でも緩和継続―市場との対話課題に

時事通信社

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日銀の大規模金融緩和策をめぐり、外国人投資家などの間で修正観測がくすぶっている。食品などの値上げが相次いで物価上昇率は日銀が目標とする2%を突破、今後も幅広い値上げが見込まれるためだ。しかし、日銀は長く日本の課題となってきたデフレからの完全脱却を優先し、緩和策を継続する構え。今後は金融市場との対話が課題となる。

コロナ禍からの回復に加え、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格などの高騰の影響で、世界的に物価上昇が加速している。日本でも、4月の消費者物価上昇率は2.1%と7年ぶりの伸び率。消費税率引き上げの影響を除き、黒田日銀の下で初めて目標の「2%」を超えた。

しかし、日銀の黒田東彦総裁は6日の講演で、「(今なお)サービス価格は極めて硬直的な状態が続いている」と指摘。2%の物価目標の達成には、賃金の明確な上昇と長年の課題であるサービス価格の上昇が「重要なカギを握る」と強調した。

日銀が金融緩和で狙うのは、需要そのものが増え、賃金と物価が継続的に上昇していく姿。だが、現状はまだ程遠い。日銀が3月下旬に開いた経済学者らとの討論会でも、日本の現状について「コロナ前から続く『慢性デフレ』とエネルギー価格上昇などを受けた『急性インフレ』の二つの問題がある」(渡辺努東大教授)として、慢性デフレ解消へ緩和継続が必要との意見が相次いだ。

もっとも、米欧が金融引き締めにかじを切った今、日銀が大規模緩和を続ければ円安が進み、輸入物価上昇を通じ急性インフレを悪化させる恐れがある。そもそも、日銀が大規模緩和の導入に当たり「2%」の数値目標を掲げたのは事実。金融市場の無用な混乱を避けるため、市場との丁寧なコミュニケーションが求められている。

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「今後、日銀は『安定的な物価2%目標の実現』とはどのような条件なのかを明確にする必要がある」と指摘する。

【時事通信社】

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