- 2022/06/09 掲載
アングル:中国の株式・債券市場に外国人回帰、景気対策を好感
新型コロナウイルス感染抑制に向けた厳しい規制は続いているが、リフィニティブ・アイコンと香港証券取引所のデータによると、外国人投資家の5月の中国株買い越し額は25億ドルと過去4カ月で最大となった。
また国際金融協会(IIF)のデータでは、中国の債券市場は5月に20億ドルの純流入を記録。公式データで確認されれば3カ月連続した純流出からの転換となる。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者、マーク・ヘーフェル氏は、最近の新型コロナ規制緩和、政府の景気刺激策、割安な株価などの要因を挙げ、中国はアジアで推奨する市場の一つだと述べた。
上海は1日、2カ月に及んだロックダウンを終了し、首都北京もコロナ規制を緩和。政策当局者は景気を急激な落ち込みから回復させるため成長重視にシフトしている。もっともアナリストの分析に基づくと、経済がより強固な足場に戻るには数カ月かかりそうだ。
こうした政策転換への期待から、優良企業で構成するCSI300指数は過去1カ月で8%上昇した。
ロシアのウクライナ侵攻を契機に、ロシアとの関係が良好な中国に対して欧米が制裁に動くとの不安も広がった。IIFによると、そのため第1・四半期には中国で「過去に例のない」資本流出が起きたものの、現在懸念は後退している。
リフィニティブのデータからは、中国企業の今年の増益率が12.42%と、ロックダウンの影響にもかかわらずアジア地域平均の10.9%を上回ると予想されていることが分かる。
中国企業の1年後の利益予想に基づくPER(株価収益率)は9.62倍で、アジアでは韓国に次いで2番目に低く、一部の投資家は値ごろ感からの買いを模索するようになっている。
中国株は1─5月に累計で4億6500万ドルの純流出に直面したが、それでも流出規模はインドの201億ドル、台湾の248億ドル、韓国の113億ドルよりはるかに少なかった。
ゴールドマン・サックスは、地政学的緊張と新型コロナ規制は世界第2位の規模を持つ中国の株式市場にそもそも投資するのかという問題に、根本的な変化を及ぼさないとしている。ただ一方で、過去1年間に世界の投資家の間では、中国からの分散投資、あるいは中国関連リスクのより良い管理を求める声が高まっているとも指摘した。
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