- 2022/06/11 掲載
物価高で米利上げ加速警戒=景気リスク、円安に拍車も―金融市場
【ニューヨーク時事】5月の米消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの高い伸びを示し、10日の金融市場では、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ加速への警戒感が強まった。急速な金融引き締めに伴う景気後退リスクへの懸念も増大し、ダウ工業株30種平均は900ドル近く急落。日米金利差の拡大観測から、為替市場では円安に拍車が掛かった。
5月のCPIでは、ロシアのウクライナ侵攻の影響で高騰しているエネルギーや食料品を除いたコア指数も高止まりした。インフレは航空運賃や家賃など広範に及び、原油高やサプライチェーン(供給網)混乱だけでなく、「賃金上昇や強い個人消費によってもたらされている」(米バンク・オブ・アメリカ)ことが裏付けられた。
FRBは、6、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の大幅利上げを検討する。パウエルFRB議長は「インフレが明確かつ確実に低下する必要があり、それまで利上げを続ける」と説明。景気後退の「痛み」より、インフレ抑制を優先する姿勢を示している。市場では、秋以降も大幅利上げが続き、0.75%の利上げ観測も浮上。米銀エコノミストは、高インフレが米経済に定着し、「(物価上昇と景気後退が同時に起きる)スタグフレーションのリスクが高まっている」と指摘した。
一方、為替市場では、大規模金融緩和を継続する日銀とFRBとの姿勢の違いがより鮮明となり、金利差からドルを買って円を売る動きが加速。「円安の流れは当面続く」(米金融大手)との見方が多く、円相場は1ドル=135円台も意識され始めている。
【時事通信社】
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