- 2022/07/01 掲載
アジア通貨、打撃は当面続くか FRB動向や中国経済回復が鍵
アジア通貨はここ数週間、何年かぶりの水準に下げている。ほとんどの国にとってはコモディティー高騰や、米国との金利差縮小が弱材料だ。アジアではインフレが欧米よりは比較的抑制。経済成長重視が欠かせない中銀は利上げをためらい、これが中国を除く新興アジア地域からの5か月連続の外国資金流出につながった。世界的な景気後退懸念の高まりもあり、投資家はより高リスクなアジア資産ではなく、ドル資産の選好を余儀なくされた。
台湾ドルや韓国ウォン、フィリピンペソは対ドルで年初来の下落率がいずれも6.8%超。インドルピーは現在、過去最安値に近い。
DBSバンクの金利ストラテジスト、ダンカン・タン氏は「(アジア地域の)利上げはFRBの利上げに比べれば最終的により小幅にとどまり、ペースもより緩やかだろう」と予想。こうした政策金利差がアジア通貨などを押し下げ続けるとみる。
メイバンクの外為ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は、FRBなどのタカ派姿勢がピークを越えれば新興外為市場は安定する可能性があるとする一方、「意味のあるような大きな値上がりになるかどうかは、その新興市場の経済成長とドル安の程度次第だ」とした。
中国のロックダウン(都市封鎖)解除に伴う経済再開でアジアに資金が戻ってくる可能性もある。しかし、実際の回復のペースが分かるデータが出てくるまでは、投資家は大きく資金を向けるのは控えるともみられている。IGのストラテジスト、ダニエル・ドゥブロフスキ氏は「実際のところ中国も自らが世界経済の減速にさらされているのに気が付くだろう。引いては(アジアの)輸出型経済の国も今年下半期にぜい弱な立場に置かれる」と指摘した。
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